求められる“大人のサッカー”
イタリア代表は2連勝してグループ突破が決まっている。だが、日本代表との最終戦を消化試合とは捉えていないようだ。あくまで首位通過を狙っているという。U-20とは言え、“アズーリ(イタリア代表の愛称)”を相手に勝ち切ることは簡単ではないだろう。
スカウティングを通して、中村は「3バック、5バックで5-3-2みたいな感じでやってくる。守備が強い」という印象を抱いた。攻め込んでも相手のディフェンスを崩せず、逆にカウンターから失点の可能性を招くようなことがあれば、少し立ち止まる時間も必要になるだろう。先制に成功してリードを広げることができた後でも、同様である。
メキシコ戦の後で若原智哉は、次戦に向けたチームの改善点として、次のようなことを話した。
「ピンチを作られているっていう時点で、まだまだ守備の課題っていうのはあると思いますし。もっとゲームをコントロールするというか、この試合で自分たちがボールを保持する時間もありましたけど、勝っているときに無理に突っ込んでカウンターを食らうっていうよりは、もっとボールを動かしてプレーしたほうがいいんじゃないかな、とは思いました」
イタリア代表戦で問われるのは、この「ゲームをコントロールする」力になるのではないか。「試合の流れ」を的確に見極めながら、攻めるのか、守るのか、「ボールを動かして」時計の針を進めるのか。ドローで終わっても突破が決まるのであれば、試合の状況によっては“大人のサッカー”をする必要があるだろう。
そして「ゲームをコントロールする」ことが難しくなったとしても、このU-20日本代表には、立ち戻ることのできる、確固たる守備戦術がある。「攻撃のきっかけを作る」ための「安定した守備」。誰もが基本的なハードワークを忘れなければ、やがて「試合の流れ」を引き寄せることができるだろう。
いずれにせよ、イタリア代表との試合では、場面場面で現実的な選択をすることで、決勝トーナメント進出を確実なものにしたいところだ。
(取材・文:本田千尋【ポーランド】)
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