21歳ながらチームメイトに喝!! その強靭なメンタル
他にもナイルズを見ていると、驚かせられるのがその落ち着きだ。
試合中のナイルズは表情一つ変えずプレーする。相手選手に挑発されたとしても変わらず、普通なら緊張しそうなビッグマッチでも同様だ。
ちなみにその振る舞いは父親を真似ているそうだ。以前にクラブ公式のインタビューで自身の父親のことを「とても無口で落ち着いている人だ。でも問題が起きた時は他のみんなで協力して解決することができる人だね」と得意げに語っている。
冷静だからといってファイトしないわけではない。球際では激しくプレーするし、チームメイトを熱く鼓舞する場面すらある。
第35節のホームのクリスタルパレス戦、2-3とリードされていた後半ロスタイムの93分、前がかりになっていたアーセナルがボールを奪われてカウンターを受けた場面だった。戻りが遅いチームメイトに対して、両手を挙げて「戻ってこいよ!」とチームに喝を入れた。
21歳とは思えぬパフォーマンスで、攻守両面でアーセナルを支えるナイルズだが、シーズンの仕上げとなるヨーロッパリーグ決勝では大きな仕事を任される可能性が高い。チェルシーのエース、エデン・アザールとのマッチアップだ。
世界最高峰の突破力を持つアザールを抑えることは、どんなSBであっても難しい。ただもしナイルズが対戦相手のエースを苦しませることに成功すれば、アーセナルのタイトル獲得は大きく近づく。
リーグ戦では5位のため、来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権は逃した。ただヨーロッパリーグで優勝できれば、その権利を手に入れることができる。
アーセナルにとって二重の意味をもつ決勝で、勝敗の鍵を握るのは、意外なことに寡黙な若者になるのかもしれない。
(文:プレミアパブ編集部)
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