「ハードワーク」の重要性
また、藤本が警戒したように、「カウンター」に対する「リスク管理」も、守備陣を中心にチームが徹底していることである。CB瀬古歩夢は言う。
「得点を重ねるごとに試合は落ち着きましたけど、その分後ろは、リスク管理を徹底しながら、攻撃の時のリスクを考えながらやっていました。やはり攻撃する時に自分たちディフェンス陣がどれだけリスク管理をできるかっていうのは、どの試合もそうですし、次の試合もしっかり続けていけたらいいなあと思っています」
そして30分も過ぎる頃には、ボランチで主将の齋藤末月を中心に、奪ったボールをしっかりと繋げるようになってきた。「安定した守備から攻撃のきっかけを作ることができた」。対照的にU-20メキシコ代表は、上手くパスを繋ぐことができない。そもそも、どこでどのようにボールを奪うのか、はっきりしなかった。
例えば、昨年のロシアワールドカップでフル代表がドイツ代表を相手に繰り広げたような爆発的なカウンターは皆無。“要注意の10番”ディエゴ・ライネスも、いつの間にか試合から消えていた。
日本代表は、52分、CKから田川亨介がヘディングで追加点を挙げる。リードを2点に広げてなお、集中を切らさず、守備の意識を高く保ち続けた。77分にダメ押しとなる3点目を決めた宮代は、やはり「ハードワーク」の重要性に触れている。
「今日みんながハードワークした結果、無失点っていう結果に終わることができたと思うので、そういう意味では、すごく良いゲームだったと思います」
最終的にU-20メキシコ代表を3-0で下したU-20日本代表。誰もがハードワークを惜しまず、本来の姿と、「払った授業料」をしっかりと取り戻した。
(取材・文:本田千尋【ポーランド】)
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