「払った授業料をしっかりと取り戻そうじゃないかと」(影山監督)
若き守護神は、指揮官の意図を確かに汲み取っていた。試合後の会見で、影山雅永監督は次のように述べている。
「初戦の前半に授業料を払うことになりました。(エクアドル戦の)後半、やっと勇気を持って安定した守備から攻撃のきっかけを作ることができたんですけれども、今日の試合(メキシコ戦)で払った授業料をしっかりと取り戻そうじゃないかと。そういった自分たちで感じているものを表現するようにしてくれと、私からも言いましたけど、選手たちも自分たちで言っていましたので、そんなものを発揮してくれたんじゃないかなと思います」
序盤こそプレーが固く決定機も許したU-20日本代表だが、15分も過ぎる頃には落ち着きを取り戻していった。こちらの不意を突いてきた相手の中盤ダイヤモンドの[4-4-2]にも柔軟に対応。何よりチームとしての守備の意識が高い。ボールを失ってもすぐに奪い返しに行った。若原によれば、ドイツ風に言うと“ゲーゲンプレッシング”が、このチームの特徴である。
「チームの立ち上げからずっと、影山さんは『攻撃と守備の切り替えのスピードをどこよりも早くしよう』ということを言っているので、この大会ではそういうところを見せることができているんじゃないかなあと思います」
21分の日本代表の先制点は、そうした高い守備意識がもたらしたもの、と言えるだろう。相手のクリアボールをダイレクトでゴール前に入れ、FW宮代大聖の“バースデー弾”をアシストしたMF藤本寛也は、次のように振り返っている。
「だいたいあの辺に落とせばいいかな、とは思って、タイセイがうまく感じてくれて、フィニッシュしてくれました。その前の過程でこぼれ球を拾うという部分で、あそこで相手に拾われちゃうとカウンターを受けちゃうし、自分が拾えればいい起点にもできたと思うので、良かったかなと思います」