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「ピッチ上で一番いい選手になってやる」。藤本寛也、初先発で日本を快勝に導く2アシスト【U-20W杯】

text by 編集部 photo by Getty Images

藤本寛也
藤本寛也はメキシコ戦で2アシストを記録し日本の勝利に大きく貢献【写真:Getty Images】

 FIFA U-20ワールドカップ2019のグループリーグ第2節が26日に行われ、U-20日本代表はメキシコに3-0で快勝。大会初勝利を挙げて勝ち点を4に伸ばし、決勝トーナメント進出へ大きく前進した。

「ビビっている自分とかはそんなになくて、とりあえず自分が出たら、『俺は全然できるんだ』という気持ちだけで。エクアドル戦に出られなくて、自分が出たらもっとできるのになと思っていて、それで悔しさが倍増していて、それで自分が出たらピッチ上で一番いい選手になってやろうと思っていました」

 今大会初先発を果たした藤本寛也は、紛れもなく「ピッチ上で一番いい選手」だった。序盤から身振り手振りで味方を動かし、自らはビルドアップの起点として様々な場所に顔を出し、その左足から精度の高いパスを連発する。

 事前のスカウティングとは違う布陣で挑んできた相手にも一切ひるまず、柔軟に対応。ピッチ上の支配者として中盤に君臨した。

「なるべく集中力を切らさずに、とりあえず体よりまず頭を使う。こぼれ球を自分で拾っていけたことが、ああいう得点にも繋がったと思う。とりあえず今日は自分自身うまく集中できている部分が結構多かったかなと思います」

 まさに1点目の宮代大聖のゴールをアシストしたプレーは相手DFがクリアした後の「こぼれ球」を待ち構え、即座の判断でダイレクトパスを蹴ったからこそ生まれた。「だいたいあのへんに落とせばいいかなとは思って、(宮代)大聖がうまく感じてくれて、フィニッシュしてくれた」と藤本のイメージした通りのゴールになった。

 2つ目のアシストの場面でもコーナーキックのキッカーだった藤本と、ヘディングシュートを放った田川亨介のイメージがシンクロした。1本目は「いいボールが蹴れていたけれど、タイミングが合わなくて」ゴールネットには入らなかったが、続く2本目で「もう1本も同じような感じで蹴ってみたら(田川)亨介がうまく僕に合わせてくれた」。田川も「もう1本来るな」と感じていたと明かしている。

 決勝トーナメント進出の可能性を大きく広げられる重要な一戦で2アシスト。初戦のエクアドル戦でうまくいかなかった反省を生かし、多彩なプレーでチームを機能させた司令塔は影山雅永監督の起用に結果で応えて見せた。

「もっと強い相手とやりたいし、イタリアは今日の相手(メキシコ)よりレベルが高い。その先の決勝トーナメントに上がったらもっと強い相手とやれると思ったらワクワクする。もっと強い相手とやれると考えるだけで面白い大会というか、やっぱりワールドカップというのはいいなと思うし、そこで自分をもっと成長させるために下を向かず、どんどん自分がうまくなることだけを考えてやるだけかなと思います」

 湧き出るイマジネーションを的確なプレービジョンと正確なテクニックで具現化する東京ヴェルディ育ちの背番号8は、メキシコ戦で自らの才能の片鱗を示した。昨年のU-20ワールドカップ予選を兼ねていたU-19アジア選手権は大会途中で悔しい負傷離脱。藤本は今度こその強い思いで世界に真っ向勝負を挑む。

(取材・文:舩木渉【ポーランド】)

【了】

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