ビルドアップの理想的な形とは
この後半のパフォーマンスを最低限の基準にして、次の試合でも発揮し続けなければならないとは多くの選手が口をそろえる。
昨年9月のメキシコ戦に出場したメンバーも瀬古歩夢、東俊希、伊藤洋輝、郷家友太、斉藤光毅、田川亨介、宮代大聖、若原智哉、菅原由勢、齊藤未月、山田康太、原大智と多くがU-20ワールドカップメンバーに残っており、その経験値を活かしながら、さらにレベルアップしたワールドカップ仕様の戦いで凌駕したいところだ。
日本の「やりたいこと」が発揮できているかを把握するのには、2人のセントラルMFの動きに注目したい。エクアドル戦は相手のプレッシャーを受けて2人ともがディフェンスラインに吸収されてしまうことも多く、なかなか中央で後ろと前をつなぐ役割を果たせなかった。ここがより機能すれば、近い距離でのパス交換やスムーズなゲーム運びが実現するだろう。
エクアドル戦をベンチから見守っていたMF藤本寛也は「前半からもっとボールを受けられたはず」とセントラルMFの動きを見て不足を感じていた。南米王者に対し「リスペクトしすぎたような感じはあって、大きく蹴ってすぐ相手ボールにしちゃって、後ろで固めて我慢する時間帯が多かった」と分析する。
これをいかに解決するか。セントラルMFが2人ともディフェンスラインまで落ちるのではなく、「ボールサイドのセントラルMFが後ろに引くか引かないかというのはあるけど、引いたら逆サイドのセントラルMFはなるべく真ん中にいてあげないと」と藤本は指摘する。
メキシコは初戦のイタリア戦で4-4-2の布陣を敷いていたが、2トップからプレッシャーをかけてくることを想定すると日本にとって理想的な形も見えてくる。相手の2トップが日本の2人のセンターバックに寄せてくる場面では、セントラルMFのうち1人がビルドアップのサポートに入る。
この時、単純にセンターバックとセンターバックの間に落ちるのではなく、彼らの脇にポジションを取ってサポートすることも重要になる。2人のセンターバックをどちらかのサイドにスライドさせ、擬似的な3バックに近い形をとることでボールをスムーズに前へ運べるようになるだろう。