最低でもグループリーグ突破。先人に並ぶために
「あれはもうみんなが粘って粘って気持ちで押し込んだゴールかな」と言う田川にしてみれば、不運な1失点目のマイナスを取り返す重要な一撃だったに違いない。自身の決定機を決められなかったことはやはり悔やまれるものの、初戦ドローという最低限の結果に貢献できたのも事実だ。これでキャプテン・齋藤未月に次ぐ「チーム2番目の年長者」という重圧やプレッシャーからも多少は逃れることができたのではないだろうか。
ここから田川がやるべきなのは、チームを勝たせるゴールを奪うことだ。過去の2大会連続出場者たちを見ると、南は97年8強、99年大会準優勝という華々しい成績を残したチームの守護神であり、平山は2大会3ゴールを挙げている。しかも平山の参戦した2大会は8強と16強。つまり田川は最低でも1次リーグは突破し、自身も得点という結果を残さなければ、先人たちに肩を並べられないのだ。
そのうえで、今大会をステップにFD東京でのレギュラー奪取、来年の2020年東京五輪、2022年カタールワールドカップという上のカテゴリーに飛躍していければ、まさに理想的なシナリオだ。
そういう右肩上がりの奇跡を描くためにも、26日の第2戦・メキシコ戦はよりアグレッシブなプレーを頭から前面に押し出していくことが肝要だろう。
「次勝てば突破も見えてくる。全然ネガティブになる必要はない」と語気を強めた大型FWの覚醒に期待を寄せたい。
(取材・文:元川悦子)
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