ビッグチャンスに手応え
「お前らがこれまで積み上げてきたものは、こんなもんなのか」
指揮官がかつてないほど声を荒げるほど、若き日本には凄まじい危機感が高まった。けれども、田川は「落ち込んでもしょうがない」とすぐさま気持ちを切り替え、後半に向かった。その直後に献上したPKを守護神・若原が阻止し、2失点目を与えずに済んだことも、メンタル面を強く後押しした。
こうした追い風によって背番号11は本来のアグレッシブさを取り戻し、不安定さをしばしば垣間見せる相手センターバック陣の背後を意図的に突き始める。14分には東俊希タテパスに反応し、あわやドフリーでシュートかと思われるビッグチャンスも訪れた。
「裏に抜ければスピードで行けるっていうのは分かっていたことなので、積極的に狙っていった。チームとしても前向きなサッカーができるようになったんで動きやすさが出たし、自分も持ち味も出せるようになった」と本人も手ごたえをつかみつつあった。
彼らのこうしたゴールへの意欲がついに結実したのが、後半23分の同点弾だった。途中出場の西川潤が中に入れたボールを田川は果敢に競りに行く。そのこぼれ球を伊藤洋輝が拾って再び中へ送り、後半頭から出ていた宮代大聖が反応。相手GKと交錯し、転がったボールを山田康太が右から詰めるという極めて泥臭い形から待望の1点が生まれたのだ。
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