久保建英【写真:Getty Images】
日本サッカー協会(JFA)は23日、今月に行われるキリンチャレンジカップ2019に挑む日本代表のメンバーを発表した。6月5日にトリニダード・トバゴ代表(豊田スタジアム)、同9日にエルサルバドル代表(ひとめぼれスタジアム宮城)と対戦する。
招集メンバー27人の中には、久保建英の名前もあった。2001年生まれの17歳だが、A代表に名を連ねるだけのパフォーマンスを見せたことは間違いない。久保の今季の活躍ぶりを改めて振り返ってみたい。
久保は開幕戦から成長の跡を見せつけている。王者・川崎フロンターレと対戦した一戦の前半4分だった。左サイド深くでボールを持つと、昨季MVPの家長昭博とマギーニョをドリブルで抜き去った。直後には自ら持ち込んで質の高いラストパスを供給。41分にはポスト直撃のFKも放った。
そして、今季の久保は攻撃だけではない。ドリブルで向かってくる相手に対して身体を入れて行く手を阻んだ。昨季までなら身体をぶつけたところで逆に弾かれてしまっていたかもしれない。しかし、この場面ではしっかりと強度を示すことができた。
第3節・サガン鳥栖戦でアシストを記録し、今季初めて“数字”がついた。この試合では途中からトップ下にポジションを移している。主戦場の右サイドハーフでもクオリティを発揮できるが、中央に移動したことでさらに相手の脅威となった。
シーズンが進んでも存在感が消えない久保。むしろ輝きはどんどん増していく。第5節・浦和レッズ戦では、ヘディングのモーションを見せながら、味方のランニングを視界に捉えると左足のパスに変えた。瞬時の選択ができるあたりに、余裕を感じさせた。
ルヴァンカップでは直接FKで今季公式戦初ゴールを決め、リーグ戦第7節・鹿島アントラーズ戦と第9節・松本山雅FCで味方の得点を演出。そして、今回の日本代表メンバー発表が近づくにつれ、またしても怖さが倍増していく。
味の素スタジアムが歓喜に沸いたのが、第11節・ジュビロ磐田戦だ。スコアレスで迎えた84分、CKからボールがこぼれると久保が真っ先に走りこむ。丁寧な左足ボレーで叩くと、ボールはゴールの右隅に吸い込まれた。ボールをふかしもせず、当たり損ねることもなく、まさに狙いすましたような一発だった。その翌節の北海道コンサドーレ札幌戦でも、ほとんどシュートコースのない状況から活路を見出してネットを揺らした。
リーグ2戦連続ゴールを挙げ、ほぼ毎試合チャンスを生み出してきた久保。磐田戦など相手に監視されて試合から消える時間もまだあるが、それでも彼の輝きは色あせない。
「年齢に関係なくチームの中で存在感のあるプレーを発揮している」
日本代表の森保一監督は会見でこう述べた。さらに「直近2試合で得点を奪っていますし、チームを勝たせるだけの仕事をしている。彼が攻撃に関わることでアクセントになり、緩急を織り交ぜながらゴールに向かっていく、相手の守備網を崩していける。そういったところを発揮してほしい」と期待を寄せた。
17歳という若さが注目されがちだが、今季のパフォーマンスからもわかるように、日本代表に値するだけの仕事を果たしてきたと言える。年齢ではなく、そのプレーに注目したいところだ。
【了】