「日本らしいサッカー」は、すでにあった
ロシアワールドカップでのベスト16を成功とするか、失敗ととらえるかはさておき、日本サッカー協会や森保監督は「成功」と考えているようだ。もちろん足りなかったところはあるし、今後の課題もある。ただ、ロシアの日本代表を御破算にしてゼロから作り直そうとはしていない。ロシア大会の日本は4-4-2だった。
西野朗監督の下、極めて短期間で作ったチームは選手の長所を発揮させることに成功している。4-4-2は選手にとって違和感がなく、細部を詰めなくてもチームとしてまとめることができた。日本選手は均質的なので、大枠さえ示しておけばスムーズに協調できる。結果的に、探し求めていた「日本らしいサッカー」は、すでにそこにあったのだと気づいた。
選手にとって違和感がないサッカーは、ファンにとっても違和感がなく感情移入しやすい。ロシアワールドカップの日本代表は、ファンにとってそれなりに納得感のあるプレーができていた。これは代表チームにとって、ある意味勝敗以上に重要である。
森保監督の4-4-2は、選手をテストするための「器」であると同時に、ロシア大会の「継承」という意味がある。従来は、前任者のサッカーをすべてではないにしろ、否定するところから後任の仕事を始めていた。しかし、森保監督は西野前監督のサッカーを肯定するところからスタートしている。森保監督がロシア大会のコーチングスタッフだったことを考えれば自然な流れだろう。
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