テストのための器
「森保ジャパンにとって4-4-2は適正なのか?」というお題をいただいた。森保一監督になってからの日本代表は4-4-2(4-2-3-1)でプレーしている。五輪代表世代は3バックを使っていて、森保監督といえばむしろサンフレッチェ広島時代の3-4-2-1のイメージがあるので、なおさらA代表が一貫して4-4-2なのは不思議に思えるかもしれない。
森保監督が4-4-2を採用しているのは当面の相手に勝つためというより、チームを4年間で強化していくためと考えられる。
代表チームはワールドカップごとの4年間が強化期間になっている。しかし、期間が長いわりにチームとして練習できる日数は限られている。しかもブツ切り。そして対象選手はクラブチームがせいぜい30人程度なのに対して、代表はもっと多くの対象選手がいる。代表チームとは、多くの選手が入れ替わりながら、ごく短期間かつ即興的にチームを構築しなければならない場ということになる。
4年の間に中心選手が衰えてしまうかもしれない。逆に新しい選手が台頭してくるかもしれない。負傷や移籍などでコンディションを崩す選手も出てくる。4年間もメンバーを固定して同じやり方でプレーし続けるのはリスクになってしまう。ワールドカップ1年前ぐらいには30人程度まで候補を絞り込むが、それまでは60人以上のラージグループを入れ替えながら維持していく。
特定の組み合わせ用にしつらえたオーダーメイドの戦術は代表向きではない。人の出入りが流動的なので、逆にチームのあり方は固定的にしておく。フォーメーションや基盤となる戦い方を大枠で一定にする。大枠は示しておかないと、新しい選手が何をしていいのかわからないからだ。大枠は誰でも比較的すんなり理解できるものが良い。
4-4-2は、選手選考のための「器」なのだ。ここを度外視して、現時点で選手に合っているか、機能しているかを論じても実はあまり意味がない。テストのための器という点で4-4-2は適正だと思う。3バックを採用しているチームもあるが、日本の選手にとって4-4-2は最も馴染みのあるフォーメーションだからだ。