U-20日本代表のDF三國ケネディエブス【写真:舩木渉】
ポーランドで開催されるU-20ワールドカップの初戦を2日後に控えた21日、U-20日本代表は試合会場となるビドゴシュチュ近郊で練習を行った。
軽いランニングやストレッチ、トライアングルパスをこなした冒頭15分間のみを報道陣に公開し、その後のメニューは非公開に。選手たちには笑顔も見られたが、戦術確認などでより実戦を意識した練習になった模様だ。
今大会、センターバックとしてメンバー入りしたのは3人。その中でも三國ケネディエブスは成長速度を爆発的に上げている。青森山田高校からアビスパ福岡に加入した今季、プロ1年目ながらファビオ・ペッキア監督からの信頼を獲得してJ2リーグ戦で10試合に出場している。
「開幕から試合に出させてもらって、プロでの試合の経験というのが今年に入ってすごく得られた」
昨年は高校生ながらU-19日本代表の一員としてU-20ワールドカップ出場圏をかけたアジア予選に出場。当時は「みんなはプロでやっていたので、(高校サッカーとは)プレースピードだったり質というのが全然違ったんで、最初は戸惑いもありました」と語ったが、自らの質も自信も飛躍的に向上している。
「エクアドルのFWはA代表に呼ばれていて、今大会で1、2を争うくらいのストライカーだと思う。その選手をどれだけ封じ込めるかでグループリーグだったり、勝ち進んだ後のトーナメントに生きてくると思うので、そのFWをどれだけ抑えられるかにかかってくる。まずはそこに集中してやっていきたい」
日本のセンターバックには瀬古歩夢、小林友希もいるが、まだ誰がグループリーグ初戦のエクアドル戦に先発するか不透明。それでも出場するチャンスがあれば、同世代の南米王者のエースを封じ込めようと燃えている。
そして、三國にはもう1つ「狙い」がある。「紅白戦でもセットプレーで点を決めているので、セットプレーはかなり狙っています」と、192cmの長身を生かした攻撃面での“結果”にも貪欲だ。
実は今でこそセンターバックの三國は、高2の途中までFWとして鳴らしていた。青森山田高校でDFに転向し、一気に評価を高めて世代別代表まで上り詰めたのだ。ゆえにDFとしては発展途上の部分も多く、大きな伸びしろを残している。
「世界のレベルで自分がどれだけ通用するかによって自分の考える将来像も変わってくるので、ここで自信を持ってやって、いい結果につながれば今後もついてくると思う。まずは自分がこの大会でどれだけやれるかを確かめつつ、この日本代表の勝利に貢献できればいいなと思っています」
果たして最大の武器であるヘディングからゴールは生まれるか。そしてセンターバックとして求められる役割を果たせるか。規格外の才能を開花させるのは、まさに今だ。
(取材・文:舩木渉【ポーランド】)
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