「決めなきゃいけない場面だったので」(久保建英)
「もったいないシーンでした。失点しなくても十分守れるシーンでしたが」。札幌GKク・ソンユンが悔しさをにじませた2点目。だが決めた東京MF久保建英は「決めなきゃいけない場面だったので」とさらりと言ってのけた。
195センチの名手が止められると感じていた状況は、17歳にとっては決めなければいけない場面。この感覚が天才たる所以なのかもしれない。そして、その言葉通りゴールは生み出された。
1-0の後半24分、敵ボールを奪った東京FWディエゴ・オリヴェイラが中央をドリブルで持ち上がる。右前方を走っていた久保は相手DFとの関係を見ながら、スペースを作りつつ少し外側にふくらんだ。
元日本代表で名FWとしても名高い長谷川健太監督をして「僕なんかよりも全然うまいと思いますし、非常にそういうところが長けているので、あの年齢で非常に輝きを放つプレーができているのかなと思っています」という非凡な動き。万全の体勢でパスを受けると、そこから鋭くペナルティーエリア内にドリブルで侵入した。
対応した札幌DF福森晃斗は久保の前に入りつつ、ニアのコースを消す。そしてク・ソンユンは、その動きを受けてファーに備えた。「福(森)がニアを切って自分は遠いところを守ろうとしたんですけど」。これで防ぎきれるはずだった。
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