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日本代表 6年前

松田直樹が捨てたフラット3の理想。日韓W杯ベスト16につながった隠れたファインプレーとは?【日本代表平成の激闘史(8)】

シリーズ:日本代表平成の激闘史 text by 元川悦子 photo by Getty Images

ワールドカップ初勝利は…

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ロシア戦の先発メンバー【写真:Getty Images】

 そこから日本代表は静岡県周智郡森町にベースキャンプを構え、直前合宿に突入。トルシエはほとんどの練習を非公開にして準備に専念した。開幕直前は西澤明訓と小野が続けざまに虫垂炎にかかり、宮本恒靖も大学生との練習試合で鼻骨骨折するなどアクシデントが続いた。

 それでも6月4日の初戦・ベルギー戦(埼玉)はGK楢崎正剛、DF(右から)松田直樹、森岡隆三、中田浩二、右サイド・市川大祐、左サイド・小野、ボランチ・稲本潤一、戸田和幸、トップ下・中田英寿、2トップ・鈴木隆行、柳沢敦という最強布陣を揃えることができた。

 闘将マルク・ヴィルモッツ擁するベルギーは狡猾な相手で、フラット3の背後をロングボールで巧みに突く戦術を採ってきた。前半は楢崎が勇敢に立ちはだかり、0-0で折り返したものの、後半12分にヴィルモッツの華麗なオーバーヘッド弾を決められる。

 だが、日本は2分後に小野のスルーパスに抜け出した鈴木がゴール。瞬く間に追いつく。そして後半22分、トルシエの寵愛を受ける金髪の稲本が、自らのインターセプトから柳沢とのワンツーを経てゴール前に飛び込み、2点目を叩き出す。

 この逆転弾で「勝った」と記者席にいた筆者も確信した。が、キャプテンマークを巻いていた森岡が直後に負傷退場。シナリオが狂う。代役の宮本はラインを高めに設定しすぎて裏を開けてしまう。そこにファンデルハイデンに侵入を許し、2-2にされてしまう。

 結局、初戦はドロー。悲願のワールドカップ初勝利はお預けになった。

 続く9日の第2戦はロシアが相手。彼らは初戦でチュニジアを下していた。ゆえに日本がロシアを叩けば、1次リーグ突破に大きく前進する。トルシエは横浜での一戦に向けて、市川と負傷した森岡に代え明神智和と宮本を先発で起用。その守備陣の一挙手一投足が命運を分けると見られた。

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