晴れやかだった長谷部の表情
しかし、自分のプレーが上手く行かないことの要因を「周りの選手との兼ね合い」に見出しつつも、「周りの選手を」責めるのではなく、チームを助けるために自己の改善を図ろうとするところは、長谷部誠というサッカー選手の骨子なのかもしれない。
そして35歳にして「まだまだ」と言う。「一年を振り返れば非常に充実していた」と語る長谷部。「成長を感じている」からこそ、その意欲が枯渇することはないようだ。
「一年を振り返れば非常に充実していたし、良い時もそうでない時も両方ありましたけど、でもこの歳になって充実して、ELとかこういうリーグ、舞台、場所でやれるっていうのは幸せなことですし。そしてプレーするだけではなくて、自分の成長も感じています。
そういう部分で言えば、良いシーズンを送った次のシーズンは非常に難しいのであれですけど、また来シーズンに対するモチベーションっていうのも、しっかり休んでから考えていきたいと思います。10何年ぶりに日本代表の活動がないオフに入れるので、まあそれはそれで、これだけ戦ったので、ちょっとゆっくりしたいな、と思います」
「これだけ戦った」——。そう言い切れるからこそ、バイエルンとの最終戦を終えた後の長谷部の表情は、どこか晴れやかだったのかもしれない。
(取材・文:本田千尋【ミュンヘン】)
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