イニエスタは説く「ずっと泣いているわけにいかない」
大崎は自分たちの不甲斐なさを恥じながらも、なんとか前を向いて勝利を取り戻すべく頭を切り替えようとしていた。イニエスタも、とにかく向上することを信じて真摯に取り組み続けることの重要性を説く。
「ポジショニングがうまくいっていなかったり、1対1がうまくいかなかったり、いいパスが出なかったり、そういうことが重なっていくと、どうしても戦うのが難しくなっていく。もう本当に今はやり続けるしかないというか、チームが1つになって、もちろんこういった状況に慣れていなかったり、このプレッシャーに慣れていなかったりする選手もいるかもしれない。
けれども、やはりチームが一丸となって、この流れを変えるために働き続けるしかない。それしかないと思っている。ここでいい結果が出れば、そこからチームはきっと前に進めると思うので、もちろん今は難しい状況だけれども、続けていくしかないと思う」
神戸は15日に普段は非公開の練習をファン・サポーター向けに公開した。直前に場所をノエビアスタジアム神戸から、いぶきの森の練習グラウンドに変更もしている。できる限りファン・サポーターと近い距離でチームとしての一体感を醸成できるようにという配慮があっての決断だろう。
バルセロナで苦境を何度も乗り越え、頂点に立ってきた経験を持つキャプテンは持てる力の全てを注いで、何としてでもチームに勝利をもたらそうと必死に前を向く。次節は18日の横浜F・マリノス戦。アウェイで破壊力抜群の攻撃を武器とするチームが相手だが、そこで連敗を止められば神戸を取り巻く状況は少しずつ変わってくるかもしれない。捲土重来の旗頭となるべきは、やはりイニエスタだ。
「もし来週のマリノス戦に勝ったら、状況がガラッと変わるかもしれない。負けても続けていくしかない。人生においてもずっと勝っている時は全てが素晴らしく、七色に見えるけれど、こういう難しい時に結局できることは、ずっと泣いているわけにもいかないので、続けていくしかないのかなと思う」
まずは攻守においてチームとしてやるべきことを整理し、全員が同じ意識を持って勝利へのイメージを描けるか。意思統一とビジョンの共有こそが神戸が上昇気流に乗るための鍵になる。
(取材・文:舩木渉)
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