見えない「ビジョン」。神戸はどこに向かう?
神戸は「バルサ化」を掲げて、イニエスタやビジャ、サンペールといった元バルセロナの選手たちを集め、そのスタイルに合致するであろう戦力も補強している。西大伍や山口蛍といった日本代表クラスの実力者もいる。
この改革にブレが生じているのか。ファンマ・リージョ監督が退任し、吉田孝行監督が再就任して以降のチームからは「ビジョン」が見えてこない。ボールを保持していても「こうやって攻めたい」ということがわかるような形や流れ、意思は感じ取られず、守備も明確な方向性が定まっていないのかどこかちぐはぐだ。
鹿島の右サイドバックとして戦っていた永木亮太は「1トップのビジャ選手に入った時くらいはやっぱり怖くて、前を向かれたシーンは何回かありましたけど、前にかける人数も少なかったですし、(神戸の攻撃は)そこまで怖くなかったですね」と神戸の印象について語る。
実際、神戸がシュート1本に終わっていることも考えれば、永木の言葉に説得力は増す。鹿島から見れば、攻められていても脅威に感じる場面は少なく、攻めていてもある程度余裕を持ってゴールを目指せたに違いない。
西の出場停止によって普段のセンターバックではなく右サイドバックで先発出場した大崎玲央は「単純なボールロストが多くて、自分たちで流れを悪くしてしまっていた」と語る。さらに「守備の面でも戦えている部分と戦えていない部分がある」と続けた。
「カウンターの時の戻り1つにしてもそうだし、相手との1対1もそうだし、球際のところもそうだし、そういう1つひとつのところで相手にどれだけ多く勝てるかというところが大事になってくるんじゃないかなと思います」
大崎の感じた「戦えていない部分」は、失点場面にも象徴されていた。GKからのビルドアップに前線から全くプレッシャーがかからず、アシストになるクロスを上げた白崎にも寄せが遅れてスライディングしなければならず、簡単に剥がされてしまった。