イニエスタも答えを知らないほどの不振
どこに問題があって、こんな状況になっているのか。その問いにアンドレス・イニエスタは「あわよくばその答えを知りたい」と答え、ネガティブな感情を吐き出すように大きくため息をついた。ダビド・ビジャとセルジ・サンペールは固く口を閉ざしたまま帰路についた。彼らの振る舞いが、今のチーム状態を象徴している。
ヴィッセル神戸が迷い込んだ暗く長いトンネルは、未だに出口が見えてこない。14年ぶりのリーグ戦6連敗。これはわずか4勝しか挙げられずにJ2降格を味わった2005年に記録したものだった。当然、サポーターからはブーイングが飛ぶ。試合後にはスタンドに1時間近く残り、三浦淳寛SD(スポーツダイレクター)が直接対応。混迷は深まるばかりだ。
12日に行われた明治安田生命J1リーグ第11節の鹿島アントラーズ戦。神戸は負傷明けで「ギリギリの状態だった」というイニエスタをベンチに置き、4-2-3-1のシステムで試合に挑んだ。ところが序盤からアウェイチームに主導権を握られる。
そして失点場面もあっけなかった。17分、鹿島はGKクォン・スンテから楽々攻撃を組み立て、サイドに張り出した左サイドバックの安西幸輝が、内側にポジションを取った白崎凌兵にボールを渡す。ここ最近状態を上げている背番号41は相手のスライディングを冷静に見極め、ゴール前にふわりとしたクロスを供給。最後は巧みな動きでマークを振り切ったセルジーニョが利き足ではない右足に柔らかく当て、ゴールネットを揺らした。
これが決勝点になるが、鹿島が複数得点していてもおかしくない展開。公式記録に記載された神戸のシュート数は、わずかに「1」。それも前半に古橋亨梧が縦パスを受けて半ば強引に前を向いて単独突破を仕掛けて放ったロングシュートだった。その古橋が43分に負傷交代を強いられたのも、神戸にとっては痛手だった。
とはいえあまりにも不甲斐ない。「今は本当に精査するのが難しい状態ではあるけれど、やはりサッカーというのは負けだすとどんどん自信を失って、チャレンジする気持ちがなくなっていって、今のようなトンネルの中に行き着いてしまうと思う」とイニエスタは肩を落としたが、世界的強豪のバルセロナでプレーしていた彼にとっても公式戦7連敗は未知の領域だろう。