期待値を大きく上回る現実
実際、リバプールの勝利の数々は理屈だけで語れない部分も多い。客観データから本来決まったはずのゴール数を算出したゴール期待値でいうと、リバプールのリーグ戦の総得点数は79.46点。実際のゴールのほうが9.54点多い。つまり本来とれるはず以上のゴールがリバプールからは生まれているのだ。このギャップはプレミア最大のスコアだ。
そして勝ち点期待値に関しては83.45点で、こちらも現実の勝ち点のほうが13.55ポイント高い。理論上でならリバプールとシティは大差がついてもおかしくなかったのだ。
逆にいうと、それほどに確率の低いゴールをリバプールは決め続け、決定機をギリギリのところで守り続けた。
それでもリバプールは優勝に届かなかった。シティがリバプール以上の破壊力で大量得点を重ね、リーグを制圧した。
リバプールは決して悪くはなかった。反省点は探せばあるが、圧倒的に褒めるべきポイントのほうが多いシーズンだった。しかし01/02、08/09、13/14に続いて18/19シーズンも、リバプールは2位でシーズンを終えてしまった。チームへの不甲斐なさを感じていないだけに、今はまだ怒りよりも悔しさだけが残る。
せめてもの救いは、アンフィールドの奇跡、いやアンフィールドでは奇跡は日常なのかもしれないが、いずれにしても世紀の大逆転劇を経てチャンピオンズリーグ決勝に進出している点だ。昨年手に入れることができなかった、ビッグタイトルを今年こそ。国内王者の座こそギリギリのところで届かなかったが、欧州の舞台におけるリバプールの強さは折り紙つきだ。
最終的にどんな結果であれ今季のリバプールの結果は胸を張っていい。それは間違いない。ただ憚らず誇れるシーズンとするためにも、強いリバプールを全世界に見せつけ欧州一の座を手に入れたいところだ。
(文:内藤秀明)
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