勝負強さとヒーローの誕生
戦術的な幅を見せたのも興味深かったが、今季のリバプールはそれ以上に勝負強さが目立った。
一番印象的なのはチャンピオンズリーグ準決勝2ndレグのバルセロナ戦だろうか。1stレグを終えた時点で0-3の状態から、「You’ll never walk alone」を歌うファンたちと共にアンフィールドで4点とって逆転した試合は、今思い出しても震える。
ただ彼らが勝負強かったのはチャンピオンズリーグだけではない。
リーグ戦でもその勝負強さをいかんなく発揮した。代表例の一つは昨年9月に行われたチェルシー戦だろうか。試合は完全にチェルシーペースで25分にエデン・アザールにゴールを許した。試合はそのまま終了するかと思ったが、89分に途中出場のダニエル・スターリッジがとんでもないロングレンジのシュートをネットに突き刺し、苦しい試合ながら勝ち点1を拾った。
昨年12月に行われたマージーサイドダービーもそうだ。95分の時点で0-0だった段階では、さすがに勝ち点を落としたかと思ったが、96分にエバートンのジョーダン・ピックフォードのパンチングミスから、ディヴォック・オリギが押し込んで劇的な形で勝利をつかんだ。
思えば今季はオリギにとっては忘れられないシーズンになったはずだ。クロップのサッカーに完全にフィットしているとは言えず、いつ戦力外になってもおかしくない状態だった。
しかしマージーサイドダービーでのゴールだけでなく、5月に行われたニューカッスル戦でも2-2の状態から値千金の勝ち越し弾を86分に決めた。そして例のバルセロナ戦でも7分に勢いをもたらす先制点、79分には歴史に名を刻む大逆転ゴールを決めている。
長くサッカーを見ている方には共感してもらえると思うが、「ウイニングメンタリティ」が定着しているチームからは、思いもよらぬヒーローが生まれることが多々ある。オリギの突発的な活躍からリバプールにウイニングメンタリティが定着していることを実感した。