理想的な試合の入りを見せたバレンシア
チャンピオンズリーグ(CL)では、リバプールとトッテナムが準決勝でともに奇跡を起こし、ファイナルの舞台にたどり着いた。CL決勝でプレミアリーグ勢が対戦するのは、11年ぶりのことだという。
そして、プレミアリーグ勢の躍進はCLだけに留まらない。今季よりマウリツィオ・サッリが指揮を執るチェルシーは、ヨーロッパリーグ(EL)準決勝で難敵・フランクフルトをPK戦の末破り、決勝の切符を掴み取っている。同クラブのファイナル進出は、6年ぶりのことだ。
さらにもう1チーム、ELで決勝進出を果たしたのはアーセナルだ。同クラブは準決勝でバレンシアを2戦合計7-3で退け、ファイナルの地・アゼルバイジャン行きの切符を掴み取った。リーグ戦でのCL出場権獲得が絶望的な状況となっている同クラブにとっては、大きな勝利だったと言えるだろう。
結果的に、アーセナルはバレンシアに力の差を見せつけた形となった。バレンシアも実力はあるチームで、何よりメスタージャでの戦いはどのクラブにとっても難しい。その中でこれだけの差をつけて勝利できたということは、やはりアーセナルの方が上のレベルにあったということだろう。
ただ、この試合で理想的な入りを見せたのはアーセナルではなく、ホームのバレンシアだった。
同クラブは4-4-2のフォーメーションを採用し、主に左サイドからの攻めを中心に行ってアーセナルのゴールへと襲い掛かった。右CBに入ったソクラティス・パパスタソプーロスを2トップの一角に入ったケビン・ガメイロが中へと引き付け、右WBのエインズリー・メイトランド=ナイルズをゴンサロ・グエデスが中央へと引っ張った。これによりアーセナルの右サイドには大きなスペースが空くのだが、そこを効果的に使ったのは攻撃的SBのホセ・ルイス・ガヤだ。果敢にオーバーラップを仕掛けては相手陣内深い位置まで侵入し、攻撃に厚みを加えた。
こうして相手の右サイドを攻略するなど立ち上がりからテンション高く挑んだバレンシアは、その勢いを殺さないまま、先制ゴールを奪う。11分、カウンターから最後はガメイロがゴールネットを揺らしたのだ。