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アヤックスが流した涙。運命を変えたトッテナムの采配…若きタレント集団に何が起きたのか

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

前半はほぼ完璧だったアヤックス

 一方、幸先よく先制したアヤックスはその後もうまく試合をコントロールしていた印象だ。30分に迎えたタディッチの決定機などもそうだが、カウンターも少なからずその威力は発揮できていた。

 若いチームは勢いを持つと止められない。それを証明するかのように、アヤックスは前半のうちに2点目を奪うことになる。

 35分、GKアンドレ・オナナからのロングボールを一度は相手に奪われそうになるものの、ドニー・ファン・デ・ベークが拾いドリブルを開始。同選手は左サイドに開いていたタディッチへパスを出すと、セルビア代表FWは中央へ入ってきたジエクへパスを送る。同選手はこれを左足でうまく合わせ、ゴールネットに突き刺した。

 このシーンはロングボールを奪われることなく、中央でドリブルを開始できたことが大きかった。また、タディッチがボールを持った際のジエクの中央へ絞ってくる動き出しも見事。タイミングよく入ってきたことで、ヴィクター・ワニアマはジエクの存在に気づくのに遅れ、パスをカットできなかった。そこを見逃さなかったタディッチの働きも見事だ。

 攻撃陣の素晴らしい連係もあり、2-0とリードを広げたアヤックス。守備時もコンパクトな陣形を整え、トッテナムに隙を与えないなどほぼ完璧なゲーム運びを見せていた。

 前半終了の笛が鳴り響いた瞬間のデ・リフトやジエクの表情を見ても、明らかにアヤックスはうまくいっていたはずだ。トッテナムも良い時間帯を迎えることはできていたが、この時点ではアヤックスの勝利を誰もが信じていたことだろう。

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