長谷部誠は小野伸二に続けるか?
フランクフルトにとって、ロンドンでの戦いに向けた大きな不安要素は、選手層の薄さだ。1stレグは出場停止だったヨビッチに並ぶ2大エースのもう1人、アンテ・レビッチが帰ってくるとはいえ、代えが利かない連戦による疲労が蓄積している。ダニー・ダ・コスタとコスティッチの両ウィングバックは特に最近出ずっぱりだ。ジェルソン・フェルナンデスやダビド・アブラアム、長谷部も今季は良好なコンディションを保っているとはいえ、彼らの年齢も考えれば完全に回復していると考えるのは難しい。
チェルシーはエンゴロ・カンテが直近のワトフォード戦でハムストリングを痛めて10分で交代を余儀なくされ、フランクフルトとの2ndレグを欠場する見込み。長期離脱中のアントニオ・リュディガーやカラム=ハドソン・オドイも引き続きプレーできない。
とはいえカンテの代わりはロフタス=チークやコヴァチッチ、バークリーで問題なく、センターバックには頼れる主将ガリー・ケイヒルが復帰してきた。ペドロもウィリアンもアザールも健在。フランクフルトほど不安のあるポジションはない。
現地メディアはもちろん2ndレグもジルーのスタメン起用を予想している。「EL専門」になりつつある世界屈指のポストプレーヤーは、ホームの声援を背にパワフルさを増してきそうだ。この最前線の起点をどう封じるかはフランクフルトにとって大きなポイントとなる。
そして敵地に乗り込むアウェイチームが決勝への切符を勝ち取るための鍵は、いかに手堅く守ってカウンターを打ち込んでいくかに尽きるだろう。おそらくチェルシーにボールを支配される中で、可能な限り高い位置で奪い返し、力を振り絞って前に出ていけるか。
両サイドのコスティッチとダ・コスタの走力を生かしながら、大ブレイク中のヨビッチとレビッチに効率よくチャンスボールを届ける。そのうえで彼らのシュート回数を増やす。数少ないチャンスでチェルシーよりも先にゴールを奪えれば、チャンスは大きく広がっていく。
チャンピオンズリーグで奇跡的な逆転劇を演じバルセロナを破って決勝進出したリバプールに続き、チェルシーがEL決勝に駒を進めるか。それとも今大会決勝トーナメントで2ndレグ全勝中のフランクフルトがジャイアントキリングで勝ち上がり、長谷部は2001/02シーズンのフェイエノールトでUEFAカップ(当時)の頂点に立った小野伸二以来となる頂点への道を切り拓くことができるだろうか。
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