まさに「奇跡」が起こった
バルセロナの選手はGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン含めた11人全員が集中力を欠き、誰一人としてボールに反応することができなかった。アーノルドの隙を突いたプレーは見事だったが、痛すぎる失点だった。
3点差をひっくり返したリバプールは、その後も粘り強い戦いを見せる。4点を奪ったとはいえ、アウェイゴールを取られれば一気に状況は逆転してしまうからだ。
だがリバプールの守備陣は最後まで集中した守りを見せ、結果バルセロナ攻撃陣を相手に無失点を果たした。試合は2戦合計4-3でリバプールの勝利。まさに「奇跡」が起こったのである。
フィルミーノ、サラー不在のなかでバルセロナ相手に4点を奪ったのは、決して簡単なことではない。ただ、それを可能にしたリバプールは、やはり強い。アウェイチームからすると、もしかしたらオリギ、シャキリといった選手の方が、特徴がハッキリしているフィルミーノやサラーより捕まえにくかったということもあったかもしれない。いずれにしても、途中出場の選手含め、この試合でピッチに立ったリバプールの選手全員がMVP級の活躍だったと言ってもいいかもしれない。
と、ここまで色々と記してきたが、やはりこの試合を細かく説明するのは難しい。もちろん戦術云々の話ではないし、個の能力が突出していたわけでもない。ただ、気持ちの強さが勝敗に直結したというのは間違いないはずだ。そして改めて、サッカーには不可能なことなどないということを感じさせられた。
2004/05シーズンのCL決勝、リバプール対ミランで起こった「イスタンブールの奇跡」は現在もなお、多くの人々の記憶に残り続けているが、この「アンフィールドの奇跡」も同じように、サッカー界の歴史に長く刻まれることになるだろう。
昨季のCLでは決勝でレアル・マドリーに敗れ涙を呑んだリバプール。その時のリベンジを果たす日は、近い。
(文:小澤祐作)
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