明暗を分けた2点目
一方、逆転での決勝進出へ向け最低でもあと2点が必要だったリバプールは、前半に足を痛めていたロバートソンに代えジョルジニオ・ワイナルドゥムを投入。ミルナーを左サイドバックの位置まで下げた。
そして後半開始からわずか9分後、そのオランダ人MFが大仕事をやってのける。54分、右サイド高い位置でボールを奪ったアーノルドから低いクロスが中央へ送られる。それをワイナルドゥムが合わせ、リバプールが2点目を奪った。
結果論にはなってしまうが、勝負の分かれ目はここだったようにも思う。当然リバプールはあと1点という気持ちがあるため、自然と勢いはつく。一方バルセロナは全員が暗い表情を見せるなど、気持ちの面で明らかに差があった。
2点目を失い、バルセロナが落ち込む気持ちはわかる。ただ、こうした時こそ「顔を上げろ!」とチームを鼓舞してくれるような存在、たとえば昔のカルレス・プジョルのような闘争心溢れる選手が必要だった。しかし、今のバルセロナにそうした選手は残念ながらいなかった。サッカーは戦術、個の能力、時には運、様々な形で勝負が決まることがあるが、何よりも大事なのはメンタル面だ。とくにこうした試合では。そういった意味で明暗を分けたのは、2点目だったのではないだろうか。
さて、2点目を失い、完全に気持ちが下に向いてしまったバルセロナはその2分後、今度はシャキリのクロスをワイナルドゥムに合わせられ、あっという間に2戦合計スコアを振り出しに戻された。
ここからはもう戦術などまったく関係ない。あとは勝利への執念、チームとしてどこまで戦えるか。そうしたことに限られた。
そして79分、一瞬の気の緩みが、バルセロナを地獄へ突き落した。
リバプールにCKのチャンス。ボールの近くにはアーノルドがいたが、シャキリがキッカーを交代しようと寄ってきた。バルセロナの選手たちは、キッカーが変わるのだろうと思い込み、全員がボールから目を離した。しかし次の瞬間、アーノルドはそのままボールを蹴り、中で待っていたオリギが合わせゴールネットを揺らした。