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Jリーグ 6年前

ジュビロ、幸運だけではない勝利の伏線とは? 『攻守一体』にメド、かみ合い始めた歯車

シリーズ:週刊Jリーグ通信 text by 下河原基弘 photo by Getty Images

普段は冷静な“神GK”も笑顔

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磐田の守護神カミンスキー【写真:Getty Images】

 そして、この決勝点を引き出したもう1つの要因が磐田の堅い守備だ。GKカミンスキーは「見る人によってはラッキーだったと言われるかもしれません。しかし自分たちが良いディフェンスで最後までしのぎ、圧力をかけたので、相手がバックパスをした。それを拾えたので、自分たちの努力の結果だと思います」と話した。ゴールを許さなかったことでホームの浦和は前がかりになり、ミスを誘発させて1-0で勝利した。

 これでリーグ戦、10試合で10失点。降格圏に低迷していたチームとは思えないほどに守備は機能している。この試合、チームの柱DF大井健太郎が復帰。さらに強度を増したディフェンス陣は3バックで臨み、守備時には両ウイングバックが最終ラインの両脇を埋める形で、中盤の選手とともに堅固なブロックを築き、そこからプレッシャーをかけることで浦和の攻撃を枠内シュート1本に封じ込めている。

 もしルクセンブルク代表FWが今後戦術の核として機能するなら、磐田はさらにその強みを有効に生かせる可能性がある。相手に多少ボールを持たれても、自慢の堅守で失点を防ぎつつ、逆に空いたスペースをスピードとパワーを兼ね備えるロドリゲスが縦に速い攻撃を仕掛け敵ゴールに迫る。

 相棒のMFアダイウトンも同じく圧倒的なフィジカルを持つだけに、この形は敵チームにとって大きな脅威となるはずだ。これにMF山田大記やMF田口泰士ら実力者たちが一味加えられれば、威力は増していくだろう。

 一時は17位まで落ち込んだが、4節ぶりの白星は精神面でも大きくプラスに作用しそうだ。「この1勝で自信が戻ってくることは確かです。ここ数試合まったく勝てていなかったので、そういう意味では今日の勝利というのは自信を取り戻すには大きいと感じています」と話したのはカミンスキー。久々の勝ち点3に「もちろん、うれしいです」と普段は冷静な男が、満面の笑みを浮かべて話している姿は印象的だった。

 攻守一体となる戦術面の方向性とキーマンにめどがつき、メンタル面も回復して浮上のきっかけをつかんだ磐田。ここから巻き返しを狙う。

(取材・文:下河原基弘)

【了】

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