名波浩監督が語った作戦の一端
今季なかなか、かみ合わなかったジュビロの歯車が、かみ合い始めたように見えた。スコアレスで迎えた後半アディショナルタイム、浦和のMF青木拓矢のバックパスのミスを、磐田のFWロドリゲスがカットする。そのままドリブルで突き進みシュートを放つと、この試合大当たりしていた敵GK西川周作の横を抜け、ボールはゴールに突き刺さった。
「相手のミスでしたが、我々は勝ちに来た、しっかりその姿勢を前半から見せることができたのがゴールにつながったのかなと思っています」と背番号11。堅い守備と縦に速い攻撃で押し気味に試合を進めていたアウェイチームが、貴重な勝ち点3を手にした。
確かに幸運とも言えるゴール。だが、そこにはいくつもの伏線があった。戦前のスカウティングで、浦和がバックパスを多用することは分かっていた。「バックパスが多い。ただ、その質が浦和は非常に高いので、なかなか食えるタイミングはないと思っていましたけど、一応狙いは持っておこうと。あと後ろ選択をした時のコントロールに対して厳しいアプローチで行こうということは言っていました」と名波浩監督は作戦の一端を語った。
また試合終盤、浦和が得点を奪うために前がかりになっている状況を確認すると、指揮官はルクセンブルク代表ストライカーを呼び寄せ「相手が後ろから出てきているので、お前のスペースは広大に空いている」と、本人曰く片言の英語でアドバイス。その言葉の通り大きく空いていた敵陣で、狙っていたバックパスを奪い取った背番号11は、劇的な決勝点を生み出した。