「面白いサッカー」をしていても…
選手たちは「タイトルを獲得する」と口を揃え、今季は一層の自信も感じさせる。一昨季は天皇杯で決勝に進出し、昨季はYBCルヴァンカップ決勝で2年連続タイトルマッチに敗れる悔しさを味わった。ゴールを奪うためにリスクを冒しつつ、現実的に勝利するためのバランスをどこに置くか。悩ましい問題だが、細い光の筋が示す先に、今季こそ新たな可能性を探り当てることができるのだろうか。
ピッチ上で結果を残すには、選手や監督が一生懸命努力するだけでは足りない。彼らを支えるピッチ外の人々の活躍が噛み合わなければ、本当の意味での強さを手に入れることはできないだろう。簡単な例を挙げれば、監督がリクエストしたチームの戦い方に合致する選手を確実に獲得してくる、あるいはチームの戦力にふさわしい実力者を発掘し育てるといった強化における成功例を出し続けていくことも重要になる。
実はマリノスのホームゲーム平均観客動員数はここ数年、最後に優勝争いをしていた2013年の2万7496人を超えられていない。2014年は2万3088人でリーグ2位の座をFC東京に明け渡した。2015年は微増で2万4221人、だが2016年はわずかに減って2万4004人に。そして2017年は2万4180人と、結果が思うように出ない中でもほぼ一定の数字を保ち続けている。
ところが、あれだけ「面白いサッカーをしている」と言われていた2018年、ホームゲームの平均観客動員数は2万1788人に落ち込んだ。名古屋グランパスや川崎フロンターレの後塵を拝しJ1では6位に。近年では最低の数字だ。
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