ネイマールも苦言。チーム内部で何が?
しかしその後、徐々に勢いが弱まっていく感じはあった。
決定的だったのは、3月6日。チャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16で、『勝率100%』のデータを覆す逆転負けを、アカデミー上がりの若手中心のマンチェスター・ユナイテッドに喫したことだろう。
4月はリーグ戦のアウェイで全敗(リール、ナント、モンペリエ)。中でも現在リーグ2位のリールには、5-1という大敗を食らった。
この時点でタイトルに王手をかけていたから良かったが、フランス杯決勝戦での敗戦を合わせて、4月は2勝1分4敗と大きく負け越した。
1月にはネイマール、2月にはエディンソン・カバーニと、リーダー格が相次いで負傷離脱したこと、2月は8試合をこなすなど、超過密スケジュールによる心身の疲労、リーグ戦で絶対的なリードを奪っていたことでの気持ちの緩み……などなど、失速の要因はいくつか考えられる。トゥヘル監督もレンヌ戦を終えて「冬季休暇のあと、インテンシティを失いだした」とコメントしたように、指揮官もチーム内に変化を感じ取っていたようだ。
すでにリーグ優勝が決まり、『チームには頭の中がホリデー気分の選手もいる』といった指摘や、『一部の選手はトゥヘルに従っていない』といった報道もあるが、ネイマールがレンヌ戦の後、「若手選手の中には、先輩の言葉を聞かない者もいる。先輩や監督がアドバイスしても口答えしたり…。経験者は尊重すべきだ」と、苦言を呈していたのには、チーム内で同じメンタリティを共有できていない現状があぶりだされていた。
この状況を受けて、3月下旬に2021年まで更新されたトゥヘル監督の契約にも再び疑念が持ち上がっている。
さらに責任の矛先を向けられているのは、ナセール・アル・ケライフィ会長だ。カタールのアル=サーニー首長と兄弟のように育った腹心で、彼は前回のコラムでも触れたように、ブランディングといった商業面では手腕を発揮しているが、「やはりスポーツ面では素人」と「会長限界説」も日に日に高まっている。