他とは違ったチェルシーの質
しかし10分も過ぎると、右サイドのダニー・ダ・コスタが持ち前のサイドアタックを発揮。徐々にフランクフルトがペースを掴んでいく。左サイドのフィリップ・コスティッチも鋭いドリブルで果敢に挑んでいった。
このEL準決勝に、長谷部はリベロではなくボランチのポジションで出場する。
「ジルーが大きくて、あそこで起点を作ってくるので、僕だとヘディングとかね、体の部分で…というところがあったと思う。自分が中盤に入ることで、もう少しゲームを落ち着かせたりだとか、自分のところでボールをセーフティに、ゲームを組み立てるという意図があったと思います」
試合中、長谷部はチェルシーに「クオリティの高さ」を感じたという。
「チェルシーは、今までの、ここまでの対戦相手とは違う1つランクが上のチームだなって、やっていても思いました。中盤でのダイレクトプレーとか、ああいうところの正確性っていうのは、ここまでの相手ではなかなかなかったなと思います」
エンゴロ・カンテの寄せにボールを失い、ルベン・ロフタス=チークの突破を食い止めることができず、自身のボールロストからカウンターを食らい、今季これまでにない程の苦戦を強いられた長谷部。それでも敵の縦パスを中盤でインターセプトし、味方のミスパスが敵に渡るや否や素早く詰めるなど、随所に今季の長谷部が長谷部たる所以を発揮した。
23分、フランクフルトが先制。左のコスティッチからのクロスを、ルカ・ヨビッチがヘディングで押し込む。吠えるセルビア代表FW。見果てぬ夢の続き――決勝の舞台が近づいたかに思えた。だが、「チェルシーは、今までの、ここまでの対戦相手とは違う」。甘くはなかった。45分、ペナルティエリアの中、3人掛かりでもロフタス=チークを止めることができず、ペドロに同点ゴールを許す。