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Jリーグ 6年前

平成から令和へ、マリノス対鹿島は時代の転換点。27年目の激闘、それぞれが思い描く「家」の形

平成が終わり、時代は令和へと移り変わる。その間、Jリーグ開幕から27年にわたって途切れることなく刃を交えてきた横浜F・マリノスと鹿島アントラーズが、平成最後の試合となった4月28日の明治安田生命J1リーグ第9節で激突。その90分間は両者の変化を象徴する展開となった。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「バッチリ」だった鹿島の前半

横浜F・マリノス
横浜FMは平成最後のリーグ戦で鹿島に2-1で逆転勝利を収めた【写真:Getty Images】

 Jリーグ開幕から途切れることなく続いている唯一の対戦カードがある。「オリジナル10」と呼ばれるクラブのうち、一度も昇降格を経験していない横浜F・マリノスと鹿島アントラーズが、平成から令和への変わり目で相見えた。

 4月28日に行われた伝統の一戦は、互いの現在のチームスタイルを色濃く反映した内容となった。序盤の11分に鹿島がマリノスのビルドアップのミスを突いてカウンターを仕掛け、最後は左を駆け上がったサイドバックの安西幸輝が先制点を奪う。

 その後は自陣に強固な守備ブロックを敷く鹿島を前に、圧倒的なボールポゼッションで迫るマリノスはフィニッシュの局面を作り出せず攻めあぐねた。ペナルティエリア付近まで侵入しながらシュートを打てない。

 この展開に今季マリノスから鹿島へ移籍したFW伊藤翔は「前半は結構バッチリで、『これこれ!』と思っていた」という。だが、後半に決壊してしまった。「同点にされた後も、もう1点取るためにパワーをかけなければいけないけど、そこまでのパワーもそんなに出し切れていないという感じの印象はすごくありましたね」と伊藤は語る。マリノスは終盤まで攻め続け、2つのゴールを奪って2-1の逆転勝ちを収めた。

 なぜ前半に完璧なまでの守りを披露しながら、最後まで耐えきれなかったのか。他の選手の一言がそれを物語っていた。鹿島の10番を背負う安部裕葵に話を聞こうと歩み寄ると、第一声で「守備ばっかりで疲れました」と漏らした。

 それに「相当押し込まれることも、ある程度想定していたのでは?」と問いかけると、「いや、あそこまで追いかけさせられるとは思わなかったですけどね…」と苦虫を噛み潰した表情で語って、足を止めた。

 実際のところ、データを眺めると鹿島よりもマリノスの方が「走っている」ことがわかる。Jリーグが公式サイトで公開しているデータを参照すると、鹿島のチーム総走行距離(交代選手含む)が111.357kmだったのに対し、マリノスは116.416kmを記録しているのだ。

 ではなぜ、試合を終えた鹿島の選手たちはマリノスの選手たちに比べて疲れ切った様子だったのか。それは端的に、「追いかけさせられる」時間が長かったからだ。ボール支配率はマリノスの69%に対し、鹿島は31%。自陣に押し込まれ続け、パスが出るたびにポジションを修正して動かなければならない。

 守備はどうしても相手の動きありきになるため、「受け身」になってしまう。受動的に動かされるのは、自分たちがやりたいように動くよりもはるかにエネルギーを消耗する。その影響がモロにチーム全体のプレーに影響を及ぼしてしまったのだ。

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