疲労? まさかの衰え…? どうしたデ・ヘア
異変が起こり始めたのは3月以降だ。アーセナル戦がきっかけだったかもしれない。この試合、グラニト・ジャカが決めたロングレンジの先制弾はスーパーだったが「普段のデ・ヘアなら止められたような……」そんな違和感の残る失点だった。
そしてデ・ヘアの不調は4月17日に行われたバルセロナ戦の2ndレグで確信に変わった。この試合、リオネル・メッシのミドルシュートを後逸。1点差ならまだ準決勝進出の可能性があった試合展開において、絶望的となる2失点目をミスで献上してしまった。
直後のマンチェスターダービーもどこかおかしかった。ニアには滅法強いデ・ヘアが2点とも、ニアを抜かれて失点を喫している。そして今回のチェルシー戦だ。
アントニオ・リュディガーのロングシュートをパンチング失敗。こぼれ球をマルコス・アロンソに詰められてゴールを許した。
この日のユナイテッドは、前半のうちは魅力的なサッカーを披露した。ただし過密日程による疲労で後半もそれを維持することはできなかった。この現状を考えれば1-0を守り切るプランが勝利への近道だったのだが、前半のうちに追いつかれてしまう。逃げ切りプランを失った時点でユナイテッドは勝利の可能性をほぼ失っていた。あまり言いたくはないがデ・ヘアのミスで勝ち点2を失った。
失点の場面、リュディガーの放ったキックは軌道が変わる難しいシュートとはいえ普段のデ・ヘアなら間違いなく外に弾くことができた。しかもシュートを放ったリュディガーは、今季の序盤戦でもポスト直撃のミドルを放つなど、長距離レンジのキックに定評がある選手だ。デ・ヘアも決して油断をしていたわけではないはず。もし油断していたとすれば、それ自体がおかしい。原因は今のところわからないがデ・ヘアは絶不調に陥っている。
そんなデ・ヘアの不調については「そんな時期もある」とオレ・グンナ・スールシャール監督は擁護するコメントを残しているが、これまではこんなことはなかったので不安を抱いているファンは少なくないはずだ。そしてタイミング良く発表されたPFAのベストイレブンのGKのポジションにはデ・ヘアの名前はなかった。
現在28歳、まだ衰えるという年齢ではないはずだ。むしろ「まだまだ頑張ってもらわないと困る」というのがファンの本音だろう。今季の残り2試合は休ませるという噂もあるがそれもありかもしれない。いずれにしてもシーズン終了後は休養して、心身ともに回復し、守護神として夏に戻ってきて欲しい。ピッチ内で神通力をまだまだ見たいものだ。
(文:内藤秀明)
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