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ジュビロ磐田の藤田俊哉がPKでハットトリックを達成した【写真:Getty Images】
2019年現在、Jリーグで最も多くのタイトルを獲得しているのが鹿島アントラーズだ。彼らは常に「史上初」を成し遂げてきたが、2000年の3冠も前人未到だった。まず11月、ナビスコカップ決勝で川崎フロンターレと対戦。J2の昇格チームながら勢いに乗る相手に対し、鹿島は31分に中田浩二のゴールで先制すると、63分にはビスマルクのゴールで突き放した。
この年最初のタイトルを獲得すると、そのままリーグ制覇(後述)も達成。そして2001年元日。天皇杯決勝に進出した鹿島は清水エスパルスと対戦。小笠原満男のゴールで先制するも45分に同点弾を浴びる。鈴木隆行が勝ち越し弾を奪ったが再び振り出し戻されてしまう。一進一退の試合は延長戦に突入。
試合を決めたのは後に鹿島のレジェンドとなる男だった。ゴール前で浮いたパスを受けた小笠原が右足を一閃。美しいボレーシュートがネットを揺らし、鹿島が史上初の国内3冠を達成した。
このシーズンは他にも「史上初」が生まれている。ジュビロ磐田の藤田俊哉は5月の川崎F戦でハットトリックを達成しているが、3点ともPKで決めたものだ。中盤の選手ながら得点感覚に優れ、J1通算100得点を記録している。今やゴールを決めるミッドフィルダーは当たり前となっているが、藤田は時代の先を行っていたと言える。
岡田武史監督体制2年目のコンサドーレ札幌は、J2で安定した強さを見せている。経験豊富な野々村芳和らを獲得し、1999年ワールドユース準優勝メンバーの播戸竜二、ブラジルからエメルソンを補強。さらに高卒新人の山瀬功治もルーキーイヤーから戦力となった。
クラブチームの監督としても確かな手腕を示した岡田監督。組織的なチームの中で爆発したのがエメルソンという「個」だった。圧倒的なスピードと得点力でゴールを量産。34試合31得点と驚異的なパフォーマンスで、J2優勝&J1昇格の原動力となった。エメルソンは後に年齢詐称が発覚するが、札幌で見せた異次元のプレーは嘘ではない。