「酸素カプセル」までもブームに。凄まじい人気ぶり
宿敵アルゼンチンとの決勝トーナメント1回戦、ベッカムはディエゴ・シメオネのタックルに倒された上に背中を押し付けられるなどの挑発を受けると、離れるシメオネに足をかけて倒してしまい警告。すでに1度警告を受けていたため、退場処分となった。チームもPK戦の末に敗退となり、現地メディアからは「10人の勇敢なライオンと1人の愚かな若者」と批判を浴びる結果となった。
しかし、翌98/99シーズンのバイエルンとのチャンピオンズリーグ決勝で、汚名返上の活躍を見せた。1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムにCKから逆転となる2得点を演出。その右足の精度を世界中に見せつけ、一躍ヒーローとなった。
さらに02年のワールドカップ日韓大会では、大会前の骨折によって出場が危ぶまれたものの、「酸素カプセル」を用いた療法で早期回復を果たし、アルゼンチンとグループステージではPKによる得点を決めて因縁に終止符を打った。この「酸素カプセル」も“ベッカム・カプセル”と呼ばれ、やはり日本ではヘアスタイルとともにブームとなっている。
さらにベッカムの凄さは、世界トップのスター選手でありながら、泥臭いプレーも厭わない点が挙げられる。サイドハーフの選手ながらトップスピードはそれほど速くはなかったが、常に全力でピッチを走り、守備でも手を抜くことはなかった。そのため、セントラル・ミッドフィールダーとして起用される試合もあった。
ファーガソン監督からはヴィクトリア夫人と結婚したことで変わってしまったとされ、移籍の道を余儀なくされたが、“銀河系軍団”と言われたレアル・マドリーにおいて、ベッカムのハードワークは大きな力となっていたことも事実。
ギグスとの両サイドコンビは実質8シーズンで終わりを告げたが、その勇姿は今なおユナイテッドファンの脳裏に焼き付いているはずだ。
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