その距離60m。サッカー史に残る伝説のゴールとは?
ギグスのキャリアにおいて、特筆すべき試合は98/99シーズン、1999年4月14日に行われたアーセナルとのFAカップ準決勝再試合。4月11日に行われた試合が0-0の引き分けに終わり、当時の規定で再試合となったこの一戦は、17分にデビッド・ベッカムのゴールでユナイテッドが先制するも、69分にデニス・ベルカンプのゴールで同点となる。
さらに74分にロイ・キーンが2度目の警告で退場すると、後半アディショナルタイムにはフィル・ジョーンズがペナルティエリア内でファウルを犯してPKを献上。しかし、ベルカンプが蹴ったシュートをGKピーター・シュマイケルがビッグセーブで阻止し、試合は延長へ。
そして109分、ギグスはパトリック・ヴィエラのミスパスを自陣ハーフライン付近でダッシュするとドリブルを開始。ペナルティエリア手前では相手DFのリー・ディクソンとマーティン・キーオンのブロックを突破し、トニー・アダムスのスライディングもかわしてゴール。およそ60mを独走してのゴールはセンセーショナルに伝えられた。
さらにこのシーズンはチャンピオンズリーグでも決勝に進出。バイエルンとの一戦では後半アディショナルタイムにテディ・シェリンガムの同点ゴールをアシスト。“カンプ・ノウの奇跡”の立役者の1人となり、3冠達成に貢献した。
24年に及ぶユナイテッドでのシーズンにおいて、その活躍ぶりもさることながら、大きな負傷による長期離脱のない点も素晴らしさを物語っている。デビューシーズンの2試合出場とシーズン途中に選手兼任監督を務めた最終年の12試合出場を除くと、全て20試合以上の出場を記録し、リーグ戦通算では672試合、公式戦では963試合に出場した。
そして、獲得したタイトルはプレミアリーグ13回、FAカップ4回、リーグカップ4回、チャンピオンズリーグ2回と圧倒的な数字を記録しており、まさにマンチェスター・ユナイテッドの成功を体現する存在となった。
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