この年、世の中では何が?
前園真聖と中田英寿【写真:Getty Images】
この年は、青山剛昌原作の推理漫画『名探偵コナン』が放送開始となった。現在に続く大人気作品で、今年も劇場版『名探偵コナン 紺青の拳』が大ヒットしている。
1996年はSMAPのメンバーだった森且行がオートレース選手に転身するため脱退した年でもある。以降、グループ解散まで5人で活動した。
日本代表がマイアミの奇跡を演じたアトランタ五輪では、日本は金メダル3つ、銀メダル6つ、銅メダル5つを獲得。女子マラソンでは有森裕子が懸命な走りで銅メダルを獲得した。「自分で自分をほめたい」という名言はこの年の流行語大賞となっている。
サッカー界では、1935年創部の東芝堀川町サッカー部が北海道へ移転することになった。運営会社として株式会社北海道フットボールクラブを設立。コンサドーレ札幌が誕生した。
アトランタ五輪でブラジルを破る快挙を成し遂げた日本代表は、一躍時の人となった。特に人気を集めたのは前園真聖で、メディアから引っ張りだこに。現在はタレントとしてお茶の間に浸透しているが、当時は長髪をなびかせたドリブルやクールな言動で、今とは違った形で注目されていた。
前園は1996年だけでも複数のCMに起用された。日清食品から発売されていたカップラーメン『ラ王』のCMには、当時プロ2年目の中田英寿とともに出演。若かりし頃の2人の姿は“お宝映像”と言っても過言ではない。
また5月31日には 、2002年ワールドカップが日本と韓国の共同で開催されることが決定している。過去、同大会は1994年にアメリカで開催されるまでヨーロッパと南米で交互に行われていた。1986年には当時のFIFA会長、ジョアン・アヴェランジェがアジア、アフリカでの開催を提案。日本サッカー協会がいち早く立候補、招致活動を開始した。
そんな中、宿命のライバル韓国も1993年に立候補。1994年にFIFA副会長に選出されたチョン・モンジュン大韓サッカー協会会長をリーダーに据え、「南北朝鮮共同開催案」などを提案した。日本はFIFAからの視察団から高い評価を受けたものの、状況はFIFAの会長選の影響で目まぐるしく動くこととなる。
アヴェランジェ会長派の勢力と、レナート・ヨハンソンUEFA会長を次期FIFA会長にしたい勢力が対立。南米は前者に、ヨーロッパは後者に付く形となっており、アフリカの理事らが重要な役割を担うこととなった。
結果的にアフリカはヨーロッパ側に付くこととなり、2002年ワールドカップは日韓共催が現実的となった。日本の招致委員会は、後にFIFA会長となるゼップ・ブラッターから連絡を受け、日韓共催を打診された。これを固辞すれば、韓国の単独開催となる可能性が高くなるため、最終的に共催という形に落ち着いた。複数の国による共催はワールドカップ史上初である。
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