この年、世の中では何が?
瞬く間に世間に浸透したアルシンドとラモス瑠偉【写真:Getty Images】
若貴フィーバーで賑わう大相撲にあって、この年も大きなニュースがあった。ハワイ出身の曙が外国人力士として初めて横綱(第64代)に昇進した。相撲人気を支え、引退後は親方を経て格闘家に転身。ボブ・サップと対戦した際にうつ伏せになって倒れているシーンは、紅白歌合戦を上回る視聴率を記録したという。
坂井泉水さんを中心としたユニット、ZARDがテレビ朝日の音楽番組『ミュージックステーション』に出演したのも1993年。『負けないで』を披露したが、これが最後のテレビ番組出演となった。
今年2019年、「王子様」と名づけられた男性が改名したというニュースがあった。現在はキラキラネームと呼ばれる個性的な名を持つ人が多くいるが、1993年にもある騒動が起きていた。東京都昭島市役所に「悪魔」と命名した男児の出生届が出されたのだ。一度は受理されたが、子どもの福祉を害する可能性があるとして不受理に。「悪魔ちゃん騒動」として当時大ニュースとなった。
もちろん、サッカーの話題もこの年の日本を席巻。新語・流行語大賞にはその時の世相が表れるが、1993年は「Jリーグ」が年間大賞に選ばれた。さらに新語部門・金賞には「サポーター」が選出されている。スポーツを見るだけでなくチームを支える人を指すもので、まさに新しい言葉だった。サポーター代表としてカズの妻である設楽りさ子さんが受賞した。
社会現象となったJリーグは地上波でも中継され、「Jリーグチップス」というお菓子も大流行。おまけのトレーディングカードも人気を後押しした。またレトルト食品の「Jリーグカレー」のCMも話題となった。サッカー少年まさおがJリーグカレーを食べると、ラモス瑠偉に変身。当時最先端のCGで人気を博した。
さらに男性向け育毛・増毛サービス、毛髪関連事業を展開する企業のCMには鹿島のアルシンドが登場。「アルシンドになっちゃうよ」や「トモダチナラアタリマエ」のフレーズでお茶の間に浸透。知名度はカズやラモスにも劣らなかった。
また、『もうひとつのJリーグ』、『オレたちのオーレ!』、『青春オフサイド!女教師と熱血イレブン』などサッカーを題材にしたTVドラマも放送されていた。
【了】