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アヤックスがユーベを凌駕した戦術的要因とは? 信じられない夜を演出した「我われの哲学」

チャンピオンズリーグ(CL)でレアル・マドリーに続き、ユベントスも姿を消すこととなった。彼らを打ち破ったのはオランダの名門アヤックス。将来有望な若手揃いのチームが、欧州屈指のスター軍団を凌駕し22年ぶりのベスト4進出を決められた要因はどこにあったのだろうか。(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

アヤックスが過ごした「信じられない夜」

マタイス・デ・リフト
マタイス・デ・リフト(中央)がアヤックスに歓喜をもたらす決勝ゴールを挙げた【写真:Getty Images】

 選手たちはピッチで歓喜の雄叫びをあげ、アウェイサポーター席は沸き立つ。もうすでにかなりのユベントスファンが立ち去っていたアリアンツ・スタジアムの他のスタンドからも、拍手が起こっていた。一般席のチケットを入手して応援していたオランダ人ファンだ。

「レアル・マドリーに続き、優勝候補を立て続けに破るとは。アヤックスにとって、またオランダサッカーにとっても、信じられない夜となったよ」

 試合後の記者会見で、エリック・テン・ハーフ監督は顔を紅潮させた。1stレグで食らったアウェイゴールの影響を全く感じさせない積極的な攻撃サッカーを貫徹し、アヤックスはユベントスに勝利した。

 前半、主導権はユベントスの掌中にあった。試合開始から積極的にプレスを掛け、ボールを奪っては早いテンポで攻撃を仕掛ける。そして28分に右コーナーキックを得ると、クリスティアーノ・ロナウドがまたも凄まじい動きでマークを外してヘディングシュート。ファーサイドからループ気味に加速してマーカーのマタイス・デ・リフトから離れると、ニアサイドに突っ込んで頭を合わせる。慌てたデ・リフトは中央で味方と交錯し、それが原因でビデオ判定の対象にもなるほどだった。

 もっとも、その6分後に試合は1-1に。右サイドの守備のため深い位置に下がっていたフェデリコ・ベルナルデスキが戻り遅れて、ドニー・ファン・デ・ベークをオフサイドポジションに残し損なってしまった。とはいえそれは、いわば事故のようなもの。意気消沈してしまう部分はあっただろうが、前半までの試合のペースを維持できれば勝機はユーベにもあったはずだ。

 しかし、そうはならなかった。後半になるとユベントスを圧倒したのはアヤックス。一方的に攻め続け、逆転ゴールを奪うのみならず、相手に反撃のチャンスも作らせなかった。格下相手への油断、といった単に精神的な要因というだけでは、こうはなるまい。この試合は技術的、または戦術的な要因が大きく影響してひっくり返ったものだ。

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