「とりあえず」の技術の高さ
これが世界のビッグクラブも注目する選手なのだろう。1-0の前半16分、自陣ペナルティーエリア少し外でクリアボールに向かった久保建英は、足をうまく使って敵をかわしマイボールにする。そして一連の動きで前方を確認すると、相手選手の頭の上を越えるふわりとした球をFW永井謙佑に通した。
周辺にいた鹿島の選手3人を一気に無力化する柔らかく絶妙なボール。絶好の形で受けた爆速ストライカーは、そのままドリブルで駆け出すと、前方を走るFWディエゴ・オリヴェイラにパス。エースは冷静に相手をかわしてゴール右隅に突き刺した。「2点目(のパス)はちゃんと狙いました。本当に連係もよかったです」と17歳は話したが、これだけでは終わらなかった。
「前半がすべてでした」と敵将・大岩剛監督をなげかせた、同29分の決定的な3点目。またも起点は自陣ペナルティーエリア、やや外にいた天才だった。
鹿島のボールを奪い、流れるような動きで胸、左足と浮かし、体を回転させながら球を相手から遠い位置に動かすと、そのまま左足でロブ気味に前方へ蹴りだした。前に出た敵DFが触れず、センターサークル内にいたディエゴ・オリヴェイラにつながると、エースはそこから一気に加速。最後はGKとの1対1を制し、ゴールをきっちり決めた。
「3点目はほぼクリアみたいな、とりあえずディエゴに蹴っておこうという感じですね」と話したが、敵に再度奪われる可能性もあり、かつ危険なエリアだったにもかかわらず、“間違い”が起こる可能性がある場所にボールを送れた技術は、さすがの一言に尽きる。