北川航也、鄭大世との駆け引きとバトル
出場機会を掴み始めた選手が、自身に意識を集中させるのは自然なことだろう。大南も常に自分と向き合ってきたからこそ、名波浩監督の抜擢に答え続けることができた。
そして、大分戦後のコールは傷ついた心を癒し、責任感を植え付けた。自分以外に目を向けるきっかけにもなった。出場停止の翌節を消化し、背番号25は再びスタメンでピッチに立っている。
静岡ダービーにも並々ならぬ思いを持っていたはずだ。
試合序盤、大南は相手のパスをカットすると前線のアダイウトンにつけた。味方との距離感や北川航也、鄭大世という相手の強力2トップの位置を確認しながら、スムースな対応を見せる。それでも、縦パスを奪おうとする動きを逆手に取ったのが、北川だ。28分、大南が一瞬だけ前に重心を傾けると、北川は裏へ走り込みボールを受けた。
さらに鄭大世も襲い掛かる。36分の失点シーンで大南はエアバトルに敗れ、すぐさまカバーに入ってクリアするもボールは真上に飛び、鄭大世に頭で押し込まれた。
「ヘディングの競り合いでも、負け方というのがあると思います。競り負けるにしても、中にこぼさせないようにできたら良かった」(大南)
先制点を献上することにはなった。しかし鄭大世がベンチに退く84分まで、大南は空中戦で引けを取ったわけではない。一つのプレーが重くのしかかるセンターバックというポジション柄、評価が難しいのは確かだ。一方で、失点後も気落ちせず挑み続けたこともまた事実だった。
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