好調とは言えないスタートとなった磐田
経験の少なさを、高い潜在能力とスポンジのような吸収力でカバーしてきた。どんな対戦カードよりも勝利が求められる特別な一戦は、21歳の若者にとって芽生えたものを発揮する場ともなった。
明治安田生命J1リーグ第7節・静岡ダービー。ジュビロ磐田はエコパスタジアムに清水エスパルスを迎えた。互いに好調とは言えないスタートを切っており、このライバル対決を機に浮上したいところだった。
試合開始時点では今季まだ未勝利で最下位だった清水だが、攻守にバランスのとれた戦いを披露。迎えた36分、GKからのリスタートを最後は鄭大世が頭でねじ込み、アウェイチームが先制に成功した。さらに58分には、相手のパスミスを拾うとラストパスを北川航也が沈めて2-0とした。
思うような攻撃を展開できない磐田だが、選手交代を行い少しずつ盛り返す。71分にはエレンのクロスをロドリゲスが頭で合わせて1点を返すと、その後もサイドから中央へボールを送り続けた。しかし、割り切って終わらせようとする清水から2点目は奪えず。1-5と粉砕された昨季リーグ戦の借りを返すことはできなかった。
「結果が全て。負けちゃいけない相手に負けてしまった」
大南拓磨は感情を抑えながら話した。逆に悔しさが滲み出ていたようにも感じられたが、むしろここからの彼がより楽しみになった。プロ入り後初めてレギュラーでシーズンをスタートした大南は、打ちのめされた試合を糧とできる選手だからだ。