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Jリーグ 6年前

清水・鄭大世が走り続ける理由「僕は夢を見ている」。サッカーで掴んだ両手いっぱいの幸せ

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「プロサッカー選手・鄭大世」として

鄭大世
ケルン時代にはブンデスリーガ1部でのプレーも経験した【写真:Getty Images】

 娘と息子、2人の子どもたちと妻がいる。静岡に応援してくれるエスパルスファンがいる。夢を追い続けきた鄭大世は近年、「モチベーションの質が変わった」という。今は目標や夢のために誰かに自分を認めさせるのではなく、自分で自分を認めることに精力を注いでいる。

「そうするためにはどうするか。絶対に1日の努力の損切りは絶対にしない。今日できることは明日に持ち越さない。今日できることは全部やりきって明日を迎える。先のことが不安になるのはみんな一緒で、今はJ1の最前線でやっているけど、こんなことって昔からしたら想像もできなかった。大学生のときに『行けてJFLかな』と思っていたら、ブンデスリーガまで行って、ワールドカップまで行って、J1の舞台でこの歳でもやっているというのはすごく幸せなこと。

それを噛み締めながらも、今日にベストを尽くして、家族と幸せに暮らす。僕が不安になったら家族も不安になっちゃうと思うので。家族の長として、そこでちゃんと精神的にもしっかり武装してやっていますね。だいぶ変わりましたね、年取って。昨年と今年がだいぶデカいですね。状況的にあまり良くないので、その分精神的にすごく学ぶものも多いです」

 35歳になって「現役引退」の文字もチラついてくる。それでも「サッカー、めっちゃ楽しいです」と屈託なく笑う。そうやって笑って過ごすために、毎日の取り組みに全力を尽くす。これが鄭大世が長年かけて導き出した、夢の追い方だった。

「今は本当に純粋にサッカーを楽しんでいます。いつまでできるかわからないから、今日1日をめっちゃ大事にしたい。やる気のない1日も、怪我でも1日でも早く戻れたら『1日』だし、プロが終わったら『プロサッカー選手・鄭大世』じゃなくなっちゃうんで。そう考えたら、今、今日1日『プロサッカー選手・鄭大世』になれる今日に感謝して、楽しんでやりたいなと思ってやっています。

プロサッカー選手じゃない自分? 想像できないです。引退した後、何をやるのか、やりたいことはあるのか。何もないですもんね。B級指導者ライセンスを取ったりしても、やっぱり教えるよりもサッカーをやっている時が一番楽しいから。生涯現役ができたらいいですけど、終わりが絶対に来る職業なので、そうはいかない。じゃあせめて1年か2年か…わからないけど、1年や2年を凝縮させた1日にしたいなと思ってやっています」

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