名古屋で目指すのは「タイトル」
彼らは確かにいずれも先の展開を読む力に長け、パス精度もずば抜けて高く、中盤の底から長短の配球を使い分けてゲームを組み立てていくタイプの選手たちだ。これまで4-1-4-1のアンカーや名古屋での4-2-3-1の「2」の一角など、中盤で基準となるかじ取り役を担ってきたJ・シミッチにとって、ブスケッツやピルロ、クロースはわかりやすい指標だろう。
すでに名古屋ではサンパウロの下部組織時代から同級生だったガブリエル・シャビエルのフリーキックに、頭で合わせてJリーグ初ゴールも奪っているJ・シミッチ。実はヘディングもかなり得意で、相手のゴールキックに対する競り合いも高確率で勝てる他、セットプレーでのターゲット役にもなっている。まだ日本では見せていないが、精度の高い左足での直接フリーキックやPKも備えている。
「常に今日を考えながら生きている。けど、グランパスにはすごく温かく迎えてもらったので、もちろん目標としてはこのクラブでタイトルを獲得したい」
イニエスタやダビド・ビジャ、セルジ・サンペールといったヴィッセル神戸勢、さらにフェルナンド・トーレスらがいるサガン鳥栖などが脚光を浴びるが、J・シミッチは貢献度も加味すれば彼らに勝るとも劣らない超優良助っ人だ。
無名選手の才能を見出して一流に育て上げることで有名なアタランタが目をつけたのであれば、才能は折り紙付き。「予知能力」を秘めたコンダクターは名古屋をさらなる高みに導くことができるだろうか。
(取材・文:舩木渉)
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