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Jリーグ 6年前

名古屋の新たな心臓はジョアン・シミッチ。超優良助っ人が秘める「予知能力」の秘密

text by 舩木渉 photo by Getty Images

順風満帆ではなかったキャリア

ジョアン・シミッチ
サンパウロ・時代のジョアン・シミッチ【写真:Getty Images】

 さらに献身性も備えているから恐ろしい。セントラルMFでコンビを組む米本拓司は「相手がいてもそれを気にしないでボールを持てるところはすごいかなと思います。なおかつ献身的に守備ができるし、あそこまで走れる外国人選手というのはなかなかいないんじゃないか。僕は外国人選手と組むのは初めてなので、いろいろな発見があって楽しいです」と、高いレベルで技術と運動量が融合している相方を称賛していた。

 サンパウロ出身のJ・シミッチは、トップチーム昇格後の2014年7月にヴィトーリア・セトゥバルへ期限付き移籍し、ポルトガルで欧州サッカーに初めて挑戦した。そこで1年間主力として活躍し、1部リーグで29試合に出場して6ゴール2アシストを記録。

 ブラジルに戻ってサンパウロに復帰すると、2016年には全国選手権1部で22試合に出場した。コパ・スダメリカーナやコパ・リベルタドーレスでもプレーするなど経験を積むと、2017年に大きなチャンスが訪れる。アタランタへの移籍が実現したのである。

 だが、イタリアのトップリーグの壁は厚かった。左ひざの半月板を負傷して手術を受けた影響もあったが、リーグ戦では10試合のベンチ入りのみにとどまり出場は叶わず。2018/19シーズンはポルトガル1部のリオ・アヴェへ貸し出され、主力として19試合に出場して名古屋行きへつながる。

 ブラジルU-20代表の一員として現リバプールのGKアリソンや、現ラツィオのワラシ、そしてガンバ大阪のアデミウソンらとともに2013年のトゥーロン国際大会優勝も経験した有望株だが、プロ選手としてのキャリアは決して順風満帆ではなかった。

 それでも「賢いサッカー選手なら、通ってきたクラブや地域のものを自分のために使う。イタリアでもプレーして、自分にとってプラスになる部分を習得できたと思う」と語り、「ヨーロッパだと運動量が求められるところがあって、攻守両面においてすごく運動強度が高い。ブラジルだとテクニックを用いたサッカーをしている。一方、日本だとパスやコントロール、攻守の切り替えの早さは他と違うと思う」と、各地域のスタイルの違いを理解しながら、過去の経験も生かしてJリーグでもさらなる成長を目指している。

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