エジルが意識したこと
しかし、ELに懸ける想いはアーセナルも負けていない。何よりホームで無類の強さを誇る同クラブは、立ち上がりからナポリを圧倒した。
前線から素早いプレスを仕掛け、ナポリのビルドアップを初期段階で阻止。高い位置でボールを奪うと一気にスピードを上げ、相手の守備陣形が整う前に崩し切るという場面を試合開始から間もなくして何度か作り上げた。
そして14分、マリオ・ルイのパスミスを拾ったアーセナルがカウンターを開始。メスト・エジルやアレクサンドル・ラカゼットらが絡んでテンポよくボールを回し、最後は一度も相手に触れられることなくアーロン・ラムジーがゴールへ流し込んだ。
さらに25分、F・ルイスからボールを奪ったルーカス・トレイラがドリブルで持ち運ぶとペナルティーエリア手前でDF一人を交わしてシュート。これがカリドゥ・クリバリに当たりゴールに吸い込まれた。アーセナルはナポリに流れを渡さないまま2点のリードを奪うなど最高の滑り出しを見せたのだ。
攻撃時のキーマンとなっていたのはやはりエジル。背番号10がボールを収め、しっかりとキープできることで全体的に押し上げることができ、厚みのある攻めを展開することができた。ドリブルからのパスやダイレクトパスなど場面によって使い分けながらリズムを変えるなど、ナポリの守備陣を翻弄した。
エジルが意識していたのはアランを避けるということ。背番号10は鋭いボール奪取とハードな守備が持ち味のブラジル人MFの手前でボールを受けマークを引き付けるのではなく、あえて背後で受ける動きを前半から見せており、アランの視界から消えていた。
ボールをキープし全体を押し上げる役割を完遂するために、ボール奪取に定評があるアランを避けるという意識はかなり的確だったと言える。背番号5の持ち味が発揮できなかったナポリはカウンターもうまく決まらず、アーセナルに押し込まれ続ける時間帯が増えた。
ホームチームはナポリの弱点をうまく突いたと言えるだろう。