システム変更後、停滞へ
後半も中盤に差し掛かると、ユナイテッドはバルセロナよりもボールを保持できる展開が続いた。そのため、スールシャール監督は地上戦でも勝負できると確信し、68分にそれまで前線で脅威となっていたルカクを下げ、縦への推進力が売りのアントニー・マルシャルを投入した。そしてシステムもそれまでの3-5-2から4-4-2へ変更。勝負に出たのだ。
しかし、結果的にこの采配は凶と出てしまう。地上戦に持ち込んだユナイテッドだったが攻撃はラングレ、ジェラール・ピケのCBコンビに捕まり、停滞。ルカクがいなくなったことでボールを収められる選手がピッチ上におらず。マルシャルらは得意のドリブルをサイドから仕掛けるなどし、崩しにかかったが、ネルソン・セメド、J・アルバもスピードには自信のある方で、簡単には突破を許してもらえなかった。
中盤の人数を1枚削ったことでバルセロナのカウンターにもあまり対応できなくなっていたユナイテッド。その後もジェシー・リンガードやアンドレアス・ペレイラをピッチに送り出すなどしたが、結果的に4-4-2へ変更後は何もできなくなっていた。疲労の影響があったかもしれないが、「ルカクを残しておけば…」と思いたくなってしまうような結末だった。
試合はこのまま0-1で終了。ユナイテッドはラウンド16同様、ホームでの1stレグを落とすことになった。
ホームチームはこの試合で計10本のシュートを放ったが、枠内に飛んだのはなんと0本。ユナイテッドがCLで枠内シュート0本に終わるというのはおよそ14年ぶりのことだという。
さらに今回の一戦でユナイテッドはCLで通算8回目となるオウンゴールを献上。これもCL史上最多の数字となってしまった。
2つの不名誉な記録を更新してしまったユナイテッド。まさに屈辱的な敗戦となってしまった。2ndレグはカンプ・ノウでのゲームと一筋縄ではいかないだろうが、ラウンド16のパリ・サンジェルマン戦同様、ミラクルを起こせるだろうか。
(文:小澤祐作)
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