マルティノスが志すもの
さらに現状のシステムや戦術の中で、どうやって自分の力を発揮していくかもイメージを描け始めている。今季から新たに取り組む役割をこなしながら、元々得意としていたウィンガーとしての特徴をどう生かすか。それが低迷する浦和の起爆剤になると信じて。
「僕にとってはアウトサイドの方が自分のクオリティを発揮しやすい。さっきも言ったように、4人の同じタイプのMFが中盤にいれば、相手ディフェンスにとってはすごく守りやすいと思う。僕が中盤でボールを受けても、常に近くにディフェンスがいて、すぐに寄せられてしまう場面がよくあった。もし僕がアウトサイドにいれば、相手が寄せてくる前にスピードで前進できる。もちろん監督の選択に対してこちらから何かをすることは全くできないけれど、僕の能力をより大きく発揮できるのはアウトサイドだと思う」
停滞するチームを後押しし、流れを変える切り札としての起用も、ハードワークして90分間汗を流す役割も全力でこなす。それが今季のマルティノスが掲げるテーマ。気分屋で調子の波が激しく、守備も手を抜きがちだったかつての姿はもうない。ケガに苦しんだ昨季の不振を拭い去り、自分のコンディションの良さを実感しているからこそ、モチベーションに溢れ、チャンスを欲している。
「今は自分の大きなポテンシャルを失ってしまっている状態かもしれないけれど、インサイドハーフでは自分が今できることの範囲外で、より多くのものを得て、発揮することができるし、僕はずっとずっと優れた選手になれると思う。それによって様々なことが変わってくると信じている。今はまだ、僕は浦和レッズにいて、このチームのために働く必要があるんだ。
今後はより多くのチャンスを得られると信じている。もっと長い時間が欲しい。今日の試合は30分前後だったと思うけど、これでも現状ではかなり長い方。僕は何だってトライする。どんな小さなシュートでも、パスでも、クロスでも、全てでベストを尽くすつもりでいるよ」
(取材・文:舩木渉)
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