「心の底からチャンスを待っている」
そうなれば他の選手と違った特徴を持ち、悪い流れを断ち切って攻撃に希望を見い出す交代カードはマルティノスのみ。実際、オリヴェイラ監督は元キュラソー代表のウィンガーを62分と早い段階で投入した。ただ、ポジションは彼が最も得意とするウィングではなく、攻撃時は左インサイドハーフになる中盤4人の左だった。
「前節、そして今節もゴールを決めるのに十分な戦いをできていないと思う。チームのプレー自体はそれほど悪くなかった。でも、ゴールを奪うには足りない。僕の考えでは、中盤に4人の同じようなタイプの選手が並んでいることこそが、相手にとって守りやすい理由になっていると思う。もっとバリエーションが必要じゃないかな」
自らの力がチームの流れを変えうると信じるマルティノスは、積極的に仕掛けようと試みていた。だが結果は0-3。逆風を追い風に変えるまでには至らず、ストロングポイントを存分に活かし切れたとは言えなかった。
「すごくフィットしている感覚がある。でも、自分のやりたいことを全て発揮するには、もっと試合のリズムをつかむ必要がある。今日の試合では大きなエネルギーを感じることができて、僕もエネルギーを注入した。ラストパスやシュートの場面でもう少し運があれば…。ただ、続けていればいずれ決まるとも思っている」
マルティノスはチャンスに飢えている。今季はリーグ戦全試合に出場こそしているものの、全て途中出場。前節のFC東京戦は後半の45分間、今節マリノス戦は28分間プレーできたが、それまでは全て20分未満しかピッチに立てなかった。
「コンディションはすごくいい」と何度も繰り返す中で、「僕はチャンスを待っている。心の底から、待っているんだ…」と噛み締めるように語った理由はもう1つある。マルティノスはACLの登録選手リストから外れてしまっているのだ。
Jリーグは今季から外国人枠を拡大して選手登録は無制限、ベンチ入りや出場は5人までと規定されているが、ACLでは従来と変わらず「3人+アジア枠1人」となっている。近年関係性の深まっているポルティモネンセ出身のブラジル人トリオと、オーストラリア代表のアンドリュー・ナバウト、そしてマルティノスを保有している浦和は、Jリーグなら全員同時起用も可能なのだが、ACLでは誰かを外さなければならない。