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アーセナル、“完敗”の理由。エバートンに上回られた質、試合のキーマンはまさかのGK?

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

躍動したエバートンMF

アンドレ・ゴメス
前半に中盤で躍動したアンドレ・ゴメス【写真:Getty Images】

 1点を奪ったことで、勢いが加速したエバートン。アーセナルのボールホルダーに対し素早くプレッシャーをかけ、高い位置で奪っては速攻に繋げる。こうした戦い方が徹底されており、ピッチに立つ11人全員がテンション高くプレーしていた。

 もちろんカウンターだけではなく、最終ラインからしっかり組み立てフィニッシュまで持ち込む場面も多かった。その時にカギを握っていたのはアンドレ・ゴメスだ。

 今季バルセロナから加入したポルトガル人MFは最終ラインからパスを引き出し、そこからサイドハーフのリシャルリソンやベルナルジへ長いボールを送ってアーセナルの守備陣を左右に揺さぶった。また、味方が相手陣内深い位置まで侵入すれば、ボランチのポジションから飛び出しアタッキングゾーンへ顔を出して攻撃の組み立てに加わった。

 本来はモハメド・エルネニーとマテオ・ゲンドゥージがゴメスを消さなければならないのだが、両者ともにこの背番号8をうまく捕まえることができず。中盤で一つ起点を作られてしまったアーセナルは高い場所でボールを奪うことがなく、持ち味の縦に素早い攻撃を仕掛けることができなくなっていたのだ。ゴメスに仕事をさせてしまった点は、勝敗の行方を分ける一つのポイントとなっていただろう。

 ゴメスはこの日、シュート2本を放ち、決定的なパスも1本繰り出すなど攻撃面で絶大な存在感を放った。また、パス成功率は89%を記録。これは試合終盤に出場したアデモラ・ルックマンを除けば最も良い数字となっており、持ち味は最大限発揮できていたと見ていいだろう。

 結局、ゴメスが躍動したエバートンは前半をきっちり1-0で終え、後半へ向かうことができた。一方アーセナルは一つのキッカケすらつかめず、不安の残る状態で残り45分を迎えることになった。

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