ビジャレアルの狙い
バルセロナの守備が崩壊したもう一つの理由にはビジャレアルの狙いが完璧にハマっていたというところにある。
ビジャレアルは1トップにエカンビ、シャドーにチャックエズとイボーラを配置していたが、これらの選手は基本的にサイドでのプレーが多かった。これはJ・アルバが果敢に前線へ顔を出すことにより、最終ラインを3枚で守る機会が多かったバルセロナの手薄になっている部分を狙ってのものだろう。事実、この日のビジャレアルはサイドからの攻めが全体のおよそ76%を占めていたのだ。
エカンビ、チャックエズがサイドに張ることにより、カウンター時にはラングレ、あるいはウンティティが彼らのマークにつかなければならない。ただ、ビジャレアルの2選手に対し、バルセロナの2選手は明らかに走力で劣ってしまう。そのためチャックエズらがここを突破するのはそう難しくはなかった。
サイドを抜け出せば、あとは中へ切り込むだけ。突破を試みている間に、エカンビ(あるいはチャックエズ)やイボーラといった選手はすでに前線に顔を出すことに成功しており、ビジャレアルはカウンターから数的優位な状況をうまく作ることができていたのだ。
もちろんラングレらCBの選手はサイドを警戒し、うまくポジショニング修正する場面もあった。が、その動きを逆手に取られたのが4失点目のシーン。
自陣中央でボールを受けたカソルラが一度右に首を振り、パスを出すふりをしていた。目線の先にはチャックエズが走っていたことから、ラングレはそれを気にし、少しサイドへ重心を寄せた。
するとラングレとウンティティの間にわずかなスペースが広がった。そこを突いたのがバッカだ。カソルラもコロンビア代表FWの動きを見逃さず、正確なスルーパスを通した。間を抜けたバッカはゴールへ一直線。最後はテア・シュテーゲンを交わしてゴールへ沈めた。
このようにビジャレアルの狙いにまんまとやられた形となったバルセロナ。勝ち点1を拾うことはできたが、守備の見直しは必要かもしれない。なんといっても次節はアトレティコ・マドリーとの直接対決だ。
(文:小澤祐作)
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